炉開きに欠かせない「亥の子餅」

 「亥の子餅」の歴史は古く、『源氏物語』にも登場するほど。とらやの亥の子餅は、鎌倉時代の文献を参考にして作られており、餅の中には、きな粉、干し柿、ごまを混ぜた御膳餡(こし餡)が入っています。

 11月は茶道で炉開きの季節。初めて炉に火を入れる炉開きでは、冬の間、火の事故なく無事に過ごせるようにと、中国で水の性質をもつとされる「亥」(いのしし)の子を模した、亥の子餅を食べる風習になりました。

 多産のいのししは、子孫繁栄の意味も。縁起のいい和菓子で一服いかがでしょうか。

本物そっくりな「りんご」の和菓子

 餡に米粉を混ぜた生地で作られた、まるで本物の果物のようなお菓子「林檎形(りんごがた)」。

 江戸時代の資料にもその名前があり、当時から、職人たちはりんごの甘酸っぱさやみずみずしさをお菓子で視覚的に表現していたのかもしれません。

 見た目からりんごの味わいまでもが感じられるうような、愛らしいお菓子です。

TORAYA GINZA

所在地 東京都中央区銀座7-8-17 虎屋銀座ビル4F
電話番号 03-6264-5200
営業時間 11:00~19:00(L.O.18:30)
定休日 元日、第2月曜(祝日の場合は第3月曜)

Column

歳時記 TORAYA GINZA

2024年、銀座7丁目にリニューアルオープンした「TORAYA GINZA」。テラス席もある美しい店内では、果物やスパイスを使ったほかの店舗とは少し違ったメニューをいただけたり、予約制のカウンターでは、目の前で和菓子を仕上げてくれるなど、楽しい提案がたくさん。より季節感を感じられるこの場所で、和菓子から1年の移ろいをご紹介します。