1980年、「とらや パリ店」がオープンして今年で45周年。現在、東京・赤坂のギャラリーで、開店を記念した企画展「和菓子が出会ったパリ」が開催中です。


ガレット・デ・ロワのフェーヴコレクションも勢ぞろい

 「とらや」が和菓子を通じて日本文化を海外に紹介したいという思いから「とらや パリ店」を出店したのは今から45年前の1980年。現在のようにインターネットが普及していない時代、和菓子の情報は限られており、羊羹を「これは黒い石鹸ですか」と尋ねる人もいたそうです。

 そんな時代を経て徐々に和菓子への理解が深まり、今では来店する多くが現地のフランス人。日本とフランスは異なる風土と歴史をもつ国ですが、それぞれに独自の菓子文化が生まれて花開いたという点は共通しており、和菓子が浸透していくベースがあったと言えるでしょう。

 今回の展示ではパリ店の歴史を振り返るとともに、和菓子を世界に伝えるために行ってきたさまざまな取り組みを紹介。当時の社内報や初公開の資料も展示されています。

 「とらや パリ店」では、2008年から「公現祭(カトリックの祝日)」に合わせてガレット・デ・ロワを販売。ここ3年ほどは、パイ生地の中に最中の「弥栄」と同じ餡とアーモンドクリーム、柚子ジャムのペーストを重ねて仕上げています。

 中にしのばせるフェーヴは毎年オリジナルのデザインで制作しているので、過去18年分のフェーヴが一挙に鑑賞できるのも見どころ。展示では来場者による人気投票も実施中です。

 そして現在の「とらや パリ店」は2015年、和菓子づくりにも通じるクラフトマンシップをコンセプトにリニューアルオープン。設計はパリ在住の建築家、田根剛氏が手がけ、職人の手技が生きるアイボリーの漆喰と明るい木目を基調とした内装に。

 テーブルはフレンチオークを小豆色に染め上げ、寒天をイメージした樹脂でコーティングした「YOKAN TABLE」。フランスの素材を用いて和の空間につくりあげられています。

 パリを訪れた際は、ぜひ立ち寄ってみてください。

「和菓子が出会ったパリ」

虎屋 赤坂ギャラリー
所在地:東京都港区赤坂4-9-22 とらや 赤坂店B1
電話番号:03-3408-2402(虎屋文庫)
展示期間:~10月14日(火) 入場無料
開業時間:9:30~18:00
休館日:8月6日(水)、9月6日(土)、10月6日(月)※とらや 赤坂店休業日に準じる

2025.07.30(水)
文=CREA編集部