戦後は今よりも幸せを見つけやすい?

――本作は、戦後の混沌とした時代を舞台にしています。もし北山さんがこの時代を生きていたとしたら、どんな人生を歩んでいたと思いますか?

 この時代を生き抜ける根性と気力が自分に備わっているのか自信はないですね。想像するだけでも厳しい。きっとそれでも生き抜こうとするんでしょうけど、相当つらいであろうことは予想がつきます。ただ、ハードな分、今よりも幸せへのハードルが低いような気がするんです。

――たしかに、今は情報が多いぶん、幸せを見つけづらいところもありますよね。

 そうですね。きれいな花が咲いている、それだけで心が温まるはずなのに、今は色々なことを把握できすぎてしまうから、幸せを見つけるのが難しい気がします。どちらがいいとは言えませんが、「花が綺麗だな」と感じて幸せになれる人生もすばらしいですよね。

 でも、戦後という、つらい時代を重い雰囲気にしないところが深作さん(本作の演出家)の面白いところで。劇中で使われる音楽がロックだったり、俳優たちのフィジカルな見せ場もあったり。しっかりとエンタメでありショーになっているので、期待してほしいです。

――北山さんのフィジルカルな見せ場を楽しみにしているファンの方々も多そうですね。今回、松永の役を演じることになり、表現の幅が広がりそうですか?

 今までもちょっとやんちゃな不良役は演じたことがありますが、ヤクザ役は初めて。それに、戦後を舞台にした物語を演じるのも初。そういった意味では挑戦ですし、松永を演じきれれば、表現の幅も広げられるのかな、自分自身も楽しみです。

北山宏光(きたやま・ひろみつ)

2023年9月にTOBEとともに新しいエンターテイメントに挑戦していくことを発表。23年11月17日にデジタルシングル「乱心-RANSHIN-」でソロデビュー。楽曲制作やライブの演出も手掛けるほか、俳優活動など幅広く活躍している。25年6月16日には2nd Album「波紋-HAMON-」をリリースし、全国11都市を巡るライブツアー「HIROMITSU KITAYAMA LIVE TOUR 2025「波紋-HAMON-」を開催。25年9月ブルガリア共和国友好親善大使に就任。

舞台『醉いどれ天使』

原作:黒澤明 植草圭之介
脚本:蓬莱竜太 演出:深作健太
出演:北山宏光
渡辺大、横山由依・岡田結実(Wキャスト)/佐藤仁美、大鶴義丹
東京公演:2025年11月7日(金)~23日(日)明治座
※名古屋公演、大阪公演もあり
https://www.yoidoretenshi-stage.jp/

戦後の日本。闇市の顔役である松永が真田の診療所を訪れる。一目見て肺病だと判断した真田は治療を進めるが、松永はいうことを聞かない。そんな中、兄貴分の岡田が出所し、闇の世界の力関係に変化が起きていく。

衣裳協力

ジャケット 96,800円、パンツ 59,400円/MAHITO MOTOYOSHI(JOYEUX 03-4361-4464)