【1970】ウーマンリブが「女性解放」から「便所からの解放」へエスカレート

 60~70年代、世界を吹き荒れた女性解放運動「ウーマンリブ」は、労働の男女平等から人工中絶の権利までの性差別と闘った。

 日本では1970年、国際反戦デーのデモで「便所からの解放」というストレートな文言のビラが撒かれたのが最初。運動家・田中美津率いる“ぐるーぷ闘う女”が「男にとって女は母か? それとも性欲処理機=便所か?」と問うた衝撃から運動も広まったが、それは女性の地位が欧米よりもさらに低かったことを物語る。

 シングルマザーでもあった田中美津の「女らしさより自分らしさを」という訴えは、多様性という形で、今ようやく実現を見ている。

『明日は生きてないかもしれない……という自由』

インパクト出版会
1,980円

【1974】1970年代を席巻『エマニエル夫人』は、猥褻か官能かの大論争

 エリート外交官の若妻が性的に開花する過程を美しく描き、猥褻か官能かが論争にもなった『エマニエル夫人』は社会現象級の大ヒット。

 美しい映像とアンニュイな音楽が受けまくり、日本でも観客の多くは女性。特に女子高生の間で関心が高まりすぎてしまったために青少年保護法が動き、自治体によってはポルノ指定となったケースもあったとか。

 事実ただ美しいだけではなく同性愛あり不特定多数とのSEXありの自由すぎる展開、その大ヒットは女性たちにSEXを夢見るような新しい性意識を与えた出来事だったと思う。

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CREA 2025年秋号
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この記事の掲載号

「誰にも聞けない、からだと性の話。」

CREA 2025年秋号

「誰にも聞けない、からだと性の話。」

定価980円