【WOMAN】
あなたがいてくれればいいと言う
親友がいてくれたからこそ
今から約20年前、ゲームボーイやたまごっち全盛時代に、横浜の小学校へ引っ越してきた山本さん。クラスで一番暗くて怖い、ビン底眼鏡の岡崎さんと、テレビゲームがきっかけで一番の仲良しになる。好きなものが一緒だから、好き同士になる──子どもゆえのシンプルな心の動きが、家庭に問題がある岡崎さんを笑顔にする。
「山本さんと出会えて幸せなの」と、岡崎さんは言う。「私きっと、山本さんの人生の脇役として産まれてきたんだと思う」。将来の夢は? 「私は、山本さんとずっといれたらいいなって……」。2巻では中学時代が描かれ、ほんの少し別れの香りが漂い出す。
とびきりのせつなさ、シリアスさだ。その空気を、一瞬で吹っ飛ばすひとコマギャグの破壊力によって、心は大きく翻弄させられる。でも、きっと誰もがみんな、岡崎さんや山本さんに出会っているのだ。あの頃、自分の友達でいてくれたあのコのことを思い出し、感謝したくなる。
『岡崎に捧ぐ』(既刊2巻) 山本さほ
漫画家になった山本さんが、子どもだったあの頃(おそらくは今も)友達だった、岡崎さんに捧げる自伝的コミック。岡崎さんは、漫画を描くと褒めてくれた。その言葉がきっと、山本さんの心の大事な部分をずっと勇気づけていて。「ビッグコミックスペリオール」連載中。
小学館 787円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2016.03.05(土)
文=吉田大助