芸能人御用達の「たまごサンド」で有名

天のや(東京・麻布十番)
甘味:わらび餅、かめ山、小倉トースト

店内はテーブル席4卓と小上がりの座敷で、16席。全席禁煙。

 芸能人御用達の「たまごサンド」で有名な「天のや」は、80余年前に大阪の宗右衛門町で創業し、2003年に東京・麻布十番に移転してきた「甘党の老舗」。そもそもは甘味処&お好み焼き店です。

 私が初めて訪れたのは2004年の夏ですが、その時に食べた「かき氷」の印象は鮮烈でした。氷の食感や口どけもさることながら、「宇治金時白玉」のあんこが美味しい! のです。メニューには各種甘味も豊富で、好奇心にかられて通い、気になるメニューを一通りいただいた時には、既にファンになっていました。

丹波大納言小豆と白玉を盛り合わせた「かめ山」920円。

 最初に心を摑まれたのは、「かめ山」でした。「かめ山」は、丹波大納言小豆と白玉のシンプルな盛り合わせ。「白玉」が好きだったために惹かれたメニューですが、丹波大納言は甘さの奥にしっかりした小豆の風味があり、素材自体の美味しさに気付かされます。女将さんいわく、「糖度が低いほど小豆の風味が感じられるようになるので、しつこくない程度の甘さに炊いています。きれいにアクをとり、蒸してからお砂糖を入れているんですよ」とのこと。

 飾り気のない甘味ですが、素材の良さが丁寧に引き出されていて、何度食べても飽きません。

京都のわらび粉を丹念に練った「わらびもち」(700円)の上には挽きたてのきな粉がたっぷり。

 このように、「天のや」さんは小豆に力を入れているのですが、小豆を使わない「わらび餅」も逸品。国産大豆の香ばしいきな粉をかけた「わらび餅」は、独特のコシと柔らかさとみずみずしい清涼感があり、さらりといただけます。BGMのお琴の音色を聴きながら、しみじみとした安らぎの時間をどうぞ。

場所は麻布十番のバス通りの1本裏手。細い路地に面した入口の笹の植え込みが目印。

2016.01.28(木)
文・撮影=小松めぐみ