歌舞伎座の上のスタイリッシュな日本茶専門店

寿月堂 銀座 歌舞伎座店(銀座)
甘味:温かい抹茶ぜんざい、抹茶クリーム白玉ぜんざい、上生菓子付き抹茶セット

ぜんざいに抹茶アイスと白玉を添えた「抹茶クリーム白玉ぜんざい」は、ほうじ茶付きで1,250円。歌舞伎座の屋上庭園が借景に広がる窓際席にて。

 銀座でふっと時間が空いた時、ダメもとで出かけるのが歌舞伎座のチケット売場。うまくタイミングが合えば一幕見席を……と期待して行くのですが、あと40分待つか諦めるかという、微妙なタイミングの時がよくあります。そんな時にお世話になっているのが、歌舞伎座タワー5階の「寿月堂 銀座 歌舞伎座店」。

 お庭を見ながら「抹茶クリーム白玉ぜんざい」などをいただけば、次の幕まで待つかどうかを悩むのも、楽しい時間に早変わり。緑の芝生の向こうに銀座の空やビルが広がる景色を眺めると、それだけで愉快な気分になってきます。

直火焼きのお餅をのせたぜんざいに薄茶をかけた「温かい抹茶ぜんざい」。ほうじ茶付きで1,450円。冬季限定。

 メニューを開けば、お茶もお菓子も軽食も豊富で、楽しい気分は盛り上がるばかり。抹茶を使った甘味が充実しているのは、「寿月堂」がそもそも日本茶ブランドだからなのですが、新しく登場した冬メニューの「温かい抹茶ぜんざい」は、お茶屋さんならではの傑作です。抹茶+小豆=「宇治金時」の味わいと、「お汁粉」の温かさ、お餅のもちもち感が三位一体となって、食べ終わる頃には至福の境地。粒あんの上品な甘さと薄茶の味のバランスがお見事なのです。「初昔」という抹茶の、まったりとした滋味のせいでしょう。

ショップの奥から通路を抜けると、庭園をのぞむカフェが現れます。壁や天井に使われている竹は京都から取り寄せたもので、店内全体で3000本分が使用されているとか。

 一方、通年メニューの「抹茶クリーム白玉ぜんざい」のアイスクリームに使われているのは、健全な土壌を重視する「中嶋農法」の抹茶。「抹茶クリーム白玉ぜんざい」では、あんこの甘さが抹茶アイスの味と冷たさによってキリッと引き締められている印象がありますが、それは中嶋農法の抹茶の力強い味に因るところもあるのでしょう。同じあんこと抹茶の組み合わせでも、提供する温度に応じて、抹茶の種類を使い分けているんですね。さすが日本茶専門店!

2015.12.09(水)
文・撮影=小松めぐみ