記憶の中に鮮烈に焼きついている、食べもののシーン。見たことも聞いたこともないもの、よく知っているけれど、魅惑的に描写されていたもの。

 その昔、少年少女文学を夢中で読みあさっては、文章の中の料理に想いを巡らせていたという料理ユニット「オカズデザイン」が、想像をふくらませ「ずっと食べたかったあの料理」を作ってみた。

 第1回目は『長い冬』『小さなスプーンおばさん』『秘密の花園』の3作品から。

» 第2回 「いちごシロップ」&「自家製ベーコンと根菜のホットサラダ」
» 第3回 「ライムのピクルス」&「サクランボケーキ」

『長い冬』×アルマンゾのパンケーキ

アルマンゾが母親の秘伝を守って作ったそれは、まるで泡のようにふわふわしていて、とけたブラウン・シュガーがたっぷりしみこんでいた。

『長い冬』(『大きな森の小さな家』シリーズ)より
ローラ・インガルス・ワイルダー作・谷口由美子訳(岩波少年文庫)

● そば粉のパンケーキ

「アルマンゾが“男の料理”として食事系のパンケーキを作っている描写に惹かれました。どっしりとしてしまいがちなそば粉を使っているのに、ふわふわと表現してあったので、いかに軽く仕上げるかに注意して作りました。かなり繊細な作業を要するので、アルマンゾはきっと几帳面な性格だったんだろうなとか、料理から登場人物の性格を推察するのも楽しみのひとつです」

◆材料(10cmのフライパン8枚分)
・そば粉:100g
・薄力粉:100g
・ベーキングパウダー:小さじ2
・粗糖などブラウンシュガー:大さじ1
・自然塩:小さじ1
・牛乳:300ml
・卵:2個
・サワークリーム:50g
・溶かしバター:50g
・ハムや塩豚:適量

◆作り方
(1) 卵を卵黄と卵白に分ける。卵白はつのが立つくらいに固めに泡立て、卵黄はサワークリーム、牛乳とよく混ぜあわせる。
(2) 粉類とブラウンシュガー、自然塩をボウルに入れ、泡立て器でさっくりと混ぜる。卵黄とサワークリーム入りの牛乳を注ぎ入れて混ぜ、さらに溶かしバターを入れよく混ぜる。
(3) 卵白を加え、泡をつぶさないようさっくりと混ぜあわせる。
(4) フライパンを中弱火で熱し、ハムや塩豚を入れてじりじりと焼き、ラードがほどよく出たらいったん取り出す。(3)をおたまですくい、きつね色に焼けたらひっくり返し、反対側も同じように焼く。
(5) パンケーキを器に盛り、粗糖(分量外)をふって、焼いたハムや塩豚を添える。

2016.01.07(木)
photographs=Shinsaku Kato
styling=Mariko Nakazato

CREA 2016年2月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

大人の少年少女文学

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定価780円