記憶の中に鮮烈に焼きついている、食べもののシーン。見たことも聞いたこともないもの、よく知っているけれど、魅惑的に描写されていたもの。

 その昔、少年少女文学を夢中で読みあさっては、文章の中の料理に想いを巡らせていたという料理ユニット「オカズデザイン」が、想像をふくらませ「ずっと食べたかったあの料理」を作ってみた。

 第3回目は『若草物語』『エーミールと探偵たち』の2作品から。

» 第1回 「そば粉のパンケーキ」&「マカロニと麦のスープ」&「ぶどうパン」
» 第2回 「いちごシロップ」&「自家製ベーコンと根菜のホットサラダ」

『若草物語』×ライムのピクルス

「いまは、もうなんといってもライムなの。みんな、授業中にも机の陰でしゃぶってるし、休み時間には鉛筆やビーズの指輪や紙人形や、ほかにもいろんなものと交換するの」

『若草物語』より
ルイザ・メイ・オルコット作・海都洋子訳(岩波少年文庫)

● ライムのピクルス

「ライムのピクルス、原文ではpickled limesで塩漬けと酢漬けと両方の解釈があるようですが、女の子たちが夢中になっていることから、やはり甘い味で漬けてあったのだろうと解釈しました。ライムはレモンよりも大人っぽい味なので、少女たちがちょっと背伸びして味わうおいしいものだったんじゃないかなと思います」

◆材料(作りやすい量 1L瓶1本分)
・無農薬ライム:約1kg
・粗糖などブラウンシュガー:1kg
・ライムの搾り汁:60ml

【ピックル液】
・水:200ml
・白ワインビネガー、またはアップルビネガー:大さじ2
・岩塩:小さじ1
・ローリエ:1枚
・八角:1個
・カルダモン:4個
・クローブ:5個
・黒胡椒:20粒

◆作り方
(1) ライムをよく洗い、水気をしっかりふき取る。6~8等分のくし形切りにし、種は取りのぞけるものは取りのぞく。
(2) 粗糖をまぶしながら消毒した密閉瓶に入れていく(粗糖が入りきらない場合、入るだけでいい。粗糖が溶けてかさが減るので、そのつど残りの粗糖を追加で入れる)。
(3) ピックル液の材料を鍋に入れて火にかける。沸騰したら火をとめ、常温まで冷めたら瓶に注ぎ、ライムの搾り汁を入れる。
(4) 蓋を閉めて冷暗所で保存する。粗糖が完全に溶けた後は冷蔵庫で保存。10日ぐらいしたら食べられる。シロップもライムネードとして楽しめる。

2016.01.12(火)
photographs=Shinsaku Kato
styling=Mariko Nakazato

CREA 2016年2月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

大人の少年少女文学

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