世界三大夜景と極上の天ぷらを堪能!
目指したのは函館山の頂上。噂の夜景を見たかったから。日没が早くなってきたので、夕食前に夜景を楽しむことにしたのだ。
ところが、ちょうど10月から11月にかけてはロープウェーが定期点検で休業なのだという。臨時バスが出ているものの、町で見かけた団体さんが乗り合わせてしまったら、1、2台待つことになるかもしれないし、暗くなる前に山頂に着きたいし、タクシーを使うことにした。
案の定、山頂の駐車場に入りきれないバスが、山頂近くの坂の途中で停車してしまっていた。バスを降りて歩いている人の姿も。山頂の混雑ぶりが想像できた。タクシーの数には限りがあるので、予約しておいて大正解だった。急いで展望台へ。既に最前列には人がびっしり。かろうじて2列目を確保して日没を待った。
太陽が落ちると少しずつ暗くなり、町の灯りが見えてきた。暗くなって行くにつれ、どんどん輝きを増していく。「なんてきれいなの!!」。きらきらとまたたく光は宝石をちりばめたかのよう。函館山は、海に突き出した半島の先端にあり、両側を海に挟まれてくびれた地形が夜景を際立たせている。ナポリ、香港と並んで世界三大夜景と称されていることに納得した。
函館山を下りて向かったのは、「天ぷら 田ざわ」。2012年のミシュラン北海道特別版で星を取った名店で、美味しいとの評判を聞いて予約しておいたのだ。コの字型のカウンター11席の小さなお店で、3週間前に予約したところ最後の2席ということだった。店に入ると「シーン」と音が聞こえそうなくらい誰も話をしていない。油のチリチリという音だけが響いていた。緊張しつつカウンターに座る。
料理はコースのみで、前菜2品、お造り、そして天ぷらはエビ、ぎんなん、ヒメゴチ、フグ、渋皮付きの栗、表面がサクッとしていて中がクリーミーなマダイの白子など、ていねいに仕込んだ秋の味覚、地元の新鮮な味覚が次々と10品以上続いた。
最後に「サプライズ」ということで、ブドウのピオーネの天ぷらが! これは初めての味で、火が通ることによって甘みが増し、ブドウの弾力は残るという絶妙の揚がり具合。
食材は、大将が全国各地に実際に行って探してくるのだとか。塩はフランスと伊豆大島の希少塩のブレンドという凝りよう。そんなお話を伺うことができたのは、天ぷらが揚がり終わって大将の手が止まった頃。天ぷらの後にはお新香、かき揚げを崩した天ばらの小丼と蕎麦、そしてアイスクリーム。お腹がいっぱいで口福な気持ちでベイエリアに戻った。
ベイエリアに戻ると、赤レンガ倉庫群がライトアップされていた。函館は、なんて美味しくて美しい町なのだこと!
天ぷら 田ざわ
所在地 北海道函館市杉並町23-10
電話番号 0138-56-2023
2015.11.17(火)
文・撮影=たかせ藍沙