海を望む坂道で朝の散歩
翌朝は、少し早起きをして元町を散策した。港町としてさまざまな歴史と文化を育んできた函館。なかでも元町には、異国情緒たっぷりの洋館が数多く残されている。また、函館山へと続く坂のある町としても知られ、独自の風景を楽しむことができるのだ。
まずは、石畳の大三坂を上って教会が並ぶ地域へ。ちょうど街路樹が紅葉していて鮮やかで、格好の散策日和だった。そしてさらに上のチャチャ坂へ。「チャチャ」とはアイヌ語で「おじいさん」という意味で、腰を曲げて歩いてしまうほど急な坂ということから名づけられたという。ほんとうに細くて急な坂で、早くも日頃の運動不足を後悔した(笑)。
とはいえ、ここまで上ってしまえばあとは下るのみ。函館聖ヨハネ教会の横を通り、聖堂が国の重要文化財に指定されている函館ハリストス正教会などを過ぎると八幡坂の上に出た。ここは、港を見下ろせることで人気の坂。天気がよかったこともあり、紅葉と海のコントラストが美しかった。
すると、坂の上に、手書きのボードを持った若者たちを発見! 聞くと、北海道教育大学函館校の学生さんで、月に一度程度、ボランティアで観光客を案内したり、写真を撮ってあげたりしているという。決して勝手に写真を撮って売りつけるような輩ではない。
「写真を撮ります。いかがですか?」と笑顔で呼びかけている彼ら。この日はけっこう暑かったが、まる一日こうして立っているのだという。怪しい人たちではないので(笑)、彼らを見かけたら気軽にシャッターを切ってもらおう。
右:国の重要文化財に指定されている旧函館区公会堂は、港町の栄華を偲ばせる華やかな建物。2階のテラスにレンタルドレスと燕尾服を着たカップルがいて、明治の雰囲気そのものだった。
そんな出会いに心温まっていたら、次は道端に無人販売所を発見! こうなると散策もどんどん楽しくなっていく。
さらに歩を進めた先にあるのは元町公園。そこにスカイブルーの壁にクリーム色のアクセントがかわいらしい木造の建物があった。旧函館区公会堂で、こちらも国の重要文化財に指定されている。かつての港町の栄華を彷彿とさせる洋風建築だ。ここでは、当時のドレスや燕尾服をレンタルして記念撮影をすることもできる。
そろそろお腹も空いて来たので坂を下りることに。路面電車が通る道を横切ってホテルで荷物をピックアップ。最後に立ち寄るのは朝市だ。新鮮な魚介のごちそうをいただくために。
函館・写真撮ってあげ隊(通称『あげ隊』)のブログ
URL http://hakodatetotteagetai.blog.fc2.com/
旧函館区公会堂
所在地 北海道函館市元町11-13
電話番号 0138-22-1001
URL http://www.zaidan-hakodate.com/koukaido/
2015.11.17(火)
文・撮影=たかせ藍沙