街、山、そして寺院でジョグジャカルタを満喫

メノレヒルのカバナで、夕陽を眺めながらカクテルとスナックを。水彩絵の具と紙も用意されていた。

 プールサイドでの昼寝も捨てがたかったのだけど、ジョグジャカルタは初めてだったこともあり、もう少し外に出かけてみることにした。「アマンジウォ」を見下ろす切り立った丘、メノレヒルの頂で夕陽を眺めながらカクテルをいただくというエクスカーションだ。丘に登る前に、「アマンジウォ」支配人のイアンさんお勧めの土産物店に立ち寄ることにした。なんと、日本人が経営しているという。

「スタジオ・ムンドゥ」の加藤真美さんとガラス絵。質のいいガラス絵を描ける職人さんが減っているという。

 「スタジオ・ムンドゥ」の加藤真美さんは、1986年に、家族の反対を押し切ってジョグジャカルタに住むインドネシア人と結婚した方。日本のテレビ番組にも何度か出演されているという。

 インドネシアで唯一の絵画専門コースをもつ国立芸術大学がジョグジャカルタにあることで、地元のアーティストとのネットワークを持ち、「アマンジウォ」のショップの商品だけでなく、客室に飾られているガラス絵や、レストランで使われるコースターなど、様々な工芸品を扱っている。店内には上質のバティックや食器から骨董品まで、ところ狭しと並べられている。

 お話が楽しくて、つい長居してしまったので、「アマンジウォ」のドライバーさんが心配して呼びに来てくれた。そろそろメノレヒルに向かわないと、夕陽に間に合わなくなるかも知れないというのだ。あわてて車に乗り込み、メノレヒルへと向かった。

 最後の20分ほどは徒歩で登る。頂には、小さなカバナがあった。ドライバーさんと、ピクニックセットを持ってきたリゾートスタッフの方と、ふたりがかりでマットを敷いて、小さなテーブルを用意してくれた。そして、ここでも水彩絵の具のセットの準備が。こんなに見晴らしのいい場所からなら、素晴らしい絵を描けるに違いない。

ジャワ島の美しい山脈が朱色の空にシルエットを浮かび上がらせて美しい。

 そうこうしているうちに日が沈み、空がみるみる赤く染まってきた。ジョクジャカルタには美しい山がたくさんある。行きのフライトの機内から、富士山のようなシルエットで雲の上に頭を出している山がいくつも見えたことを思い出した。暗くなってくると今度は街の灯りとともに、「アマンジウォ」のライトアップがくっきり浮かび上がり、素晴らしい夜景を眺めることができた。

ジョグジャカルタの街の夜景。左下の赤い光が「アマンジウォ」だ。

 その帰り道、メディテーションのエクスカーションに合流した。場所は、最初に立ち寄った「スタジオ・ムンドゥ」の目の前だ。ムンドゥ寺院に行き、僧侶たちがお経を唱える後でゲストが瞑想するというもの。ライトアップされた金色の仏像と、赤い袈裟の僧侶たちの姿が美しかった。プールサイドでのんびりするのもいいけれど、街を眺め、山に登り、お寺で瞑想と、ジョグジャカルタを満喫することができた。

ムンドゥ寺院の白い部屋に、金色の仏像と、赤い袈裟の僧侶たち。お経を唱える声が瞑想への誘いだ。

Studio Mendut(スタジオ・ムンドゥ)
所在地 Mendut 1, Mungkid, Magelang 56512, Indonesia
電話番号 +62-293-788221

2015.09.25(金)
文・撮影=たかせ藍沙