ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!
リゾートの随所にちりばめられた感動!
ファーストクラスで世界一周の旅の、最後の滞在先は「アマンジウォ」に決めた。私が大好きなアマンが経営するリゾートのなかでも、ロケーション、建築がひときわドラマチックで、写真を見るたびに「いつか行きたい!」と思っていたのだ。
ジャワ島にあるインドネシアの首都ジャカルタから、国内線のフライトで1時間15分。ジョグジャカルタの空港で小型機を降りると、すぐに専用のラウンジに案内された。自分で荷物をピックアップする必要はない。スーツケースが積まれ、準備が整ったところで迎えの車に案内された。
アマンホスピタリティに迎えられて約1時間、細い未舗装の坂道を上ってから、正面エントランス前の坂を下りる。その坂の中腹でドライバーさんが車を止めた。不思議に思っていると、「あれがボロブドゥール遺跡です」と、前を指さした。
「えっ!?」と、その指し示す先を見ると、小さな長方形の窓のようなものが見えた。その中央に、3キロメートル先の、ストゥーパ(仏塔)を載せたボロブドゥール遺跡が見える。「なんてドラマチックなアプローチ!」。建築家の才能に痺れた。
車寄せに着いた後はフラワーシャワーでのウェルカムサービス。奥まで進むと、先ほど小さく見えた長方形の窓が、建物全体を囲む大きな角柱で縁取られていたことを知り、更に感動!
「アマンジウォ」は、いくつものアマンを手がけている建築家、エド・タートル氏のデザイン。建物はすべて地元の石灰石を使っている。メイン棟は、ボロブドゥール遺跡と同様の、四角い土台の上に円形の建物。そして屋根の上にはストゥーパ(仏塔)を模したというドーム型の飾りが載っている。
チェックインは客室で。メイン棟の外側の円周上に並ぶ35棟の客室棟とその外側にある1棟のダレムジウォスイートはすべて一戸独立型で、こちらもメイン棟と同じ石灰石で造られている。高い天井と4本の石柱に守られたキングサイズベッド、石灰石の屋外バスタブ、そして、中庭にはカバナ、客室によってはプライベートプールがある。
斜面を降りた先にあるメインプールのそのまた先には水田が広がり、村の中のある寺院にいるような、澄んだ空気感が清々しい。敷地内の随所から、朝に、夕に、ボロブドゥール遺跡を眺めることができる造りになっている。
2015.09.25(金)
文・撮影=たかせ藍沙