BBもCCもUVケアも機能が近づいてきた
この“BB”に続き“CCクリーム”が生まれたのは、ほんの数年前。BBとの大きな違いは、肌修正効果を持っていること。つまり毛穴やキメなどの凹凸を目立たなくしたり、はたまた肌色のくすみや赤みをカバーしたりという具合。ただファンデ代わりにもなると言いつつ、肌色がついていたりいなかったり、じつはまだ混沌としている状態で、言ってみれば“BBクリーム”の定義に当てはまらないベースアイテムは、全部“CCクリーム”と呼んじゃえ、という少々乱暴な定義づけになっているのが現状なのだ。
で、こうしたベースアイテムがにわかに表舞台に現れたのも、結局はひとりひとりが“より美しい肌”“より美しい仕上がり”を求めていて、使ってみたら本当に肌がキレイに見えたから。かつての下地にそういう効果がなかったわけじゃないが、ファンデ同様、中途半端な下地も多かった。使った結果があまりよく見えなかったのは確か。また従来、欧米に下地を使う習慣はなく、元々は日本だけの小さな市場だったのが、BBやCCから外資も参戦。一気にこのジャンルが大盛況となったこともある。もうひとつ、ベーステクノロジーの進化でベース自体がとても薄くなり(ファンデも同様に)、重ねることが不快ではなく、失敗もなくなってきたからなのだ。
そしてこのジャンルを一気に広げたのが、UVケアだった。今どきUVケアを使わないなんてことはあり得ない。じゃあBBやCCも使って、UVケアも使うの? という難題から、UVケアを兼ねたBBやCCが一気に増えて、でもUVケアもそのまま残っているという状態。おまけにUVケアも、肌をキレイに見せる下地効果を兼ねていたりするからまた厄介。一体どこでどう分類すればいいのかわからなくなってきた。
いや、それだけじゃない。今年はなんとCCクリームに“高級品”が登場していて、それらはたとえば、有名美容液のCC版といったふうに、高いスキンケア効果を備えていたりするのである。つまりそういう高級CCは、朝のスキンケアも兼ねていたりして、BBクリームとも似かよってくる。ああもう……。
だからここで思い切って言ってしまおう。スタートはBBもCCも、UVケアも別のものだったけれど、どんどん機能が近づいてきていて、気がついたらかなりのダブり。もちろんUVケアに明快なファンデ効果を持つものは少ないが、ファンデ前の“一枚”、下地としての役割なら、ほとんど一緒。それもファンデ前の一枚の理想を追い求めていったら、似てきて当たり前。だからもう一緒くたにしても大丈夫。その中から有能ブランドの名品を選ぶ……選び方のコツはそれだけである。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2015.07.02(木)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫