洗練し過ぎない塩梅が、アジアのホテルには求められる?

左:ラ・レジデンス・アンコールのエントランス。通りから車寄せの道に入るこの入り口は、目立たず控えめ。知る人ぞ知る感の高いホテルだ。
右:ベル君たちが冷たいおしぼりとウェルカムドリンクを用意して待っている。

 アンコールワットのある街シェムリアップには遺跡の数が1000ともいわれるが、ホテルもまたたくさん。5ツ星ホテルだけでもずらりと並ぶ過当競争だ。リュクスの代表でいうと客室24のアマンもあれば、121室のパーク ハイアットもある。しのぎを削っているのでサービスはいずこも上々。泊まる側の趣向で選べるという、ツーリストには嬉しい街だ。

レセプションの背景にある砂岩の彫刻もアンコールな雰囲気。ブティックは2軒あるが、どちらも質の高い品揃えだ。
左:レセプションやダイニングのあるメイン棟から出たところにも池があり、ブーゲンビリアが咲き誇る。
右:カンボジアはタイ同様、各戸一祠を見かける。メコン川流域文化なのだろうか。

 で、今回ご紹介するベルモンド ラ・レジデンス・アンコールは、客室62室のリュクスなホテル。こぢんまりとし過ぎず、だがインティメイトなスケールに好感がもてる。ご存知の方も多いと思うが、ベルモンドは、オリエント急行で知られる企業。リュクスの老舗中の老舗グループだ。そのコレクションには錚々たるホテルや豪華列車の旅、リバークルーズなどが並ぶ。

鬱蒼と茂る熱帯林に囲まれたプールは、ブラックプールとまではいかないがシックな色調、大人な感じ。
夜、プールを囲む客室に明かりが灯ると、こんな雰囲気。これはまたイイ感じで、プールサイドで一杯飲みたくなるというもの。

 あえて控えめに設計したと思われるエントランスを入ると、池を渡ってレセプションへ。この池を渡る感じが、アンコールワットの参道を行く雰囲気を彷彿させて、なんともいい。チークをふんだんに使った建物は、シックな南国情緒を思いっきり漂わせる。客室はプールを取り囲むように配置され、二層式の建物を風が吹き抜けていく。

こちらスイート。ベッドの蚊帳はお約束で、どの部屋もデフォルトなり。

 客室もチークを基調にしたしつらえだ。広々としたバスルームとベッドルームは引き戸で仕切られているので、開放するとさらに広々とした空間となる。

 何より洒落てるなと感じたのは、ターンダウン時の蚊除け。ベープ方式でも蚊取り線香でもなく、レモングラスのオイルをアロマバーナーに垂らして、そこはかとなく香らせる。蚊は多いようだが、このレモングラスの香りのおかげで刺されずに済んだ。レモングラスの防虫スプレーはほかでも見かけるが、このアロマオイルはグッド。もちろんこのテの香りが苦手な人は消せば良いわけで、ベッドにはちゃんと蚊帳も吊られている。

左:テラス付きのデラックス プールサイドルーム。奥のバスタブがいかに大きいか分かるだろうか?
右:Don’t disturbはこんな札です。

2015.04.28(火)
文・撮影=大沢さつき