アメリカの中西部、おいしい朝ごはんを巡る旅の第4回は、地平線まで畑が広がるカントリーなアイオワ州で典型的なアメリカン・ブレックファストを食べ、いい感じの田舎町を訪れます。

アル・カポネが逃げ込んだホテルでアメリカンな朝食を

「ホテル・ジュリアン・ダビューク」のエレガントなロビー。

 イリノイ州とアイオワ州は、ミシシッピ川を挟んで対岸に位置する。その2州にまたがる61号線に架かる橋を渡り、アイオワ州に入ってすぐのダビュークという町にある「ホテル・ジュリアン・ダビューク」は、歴史的な人物が滞在した由緒あるホテル。

 かつては「ジュリアン・ホテル」という名前でエイブラハム・リンカーンも滞在したが、後に火事で焼失。現在の建物が完成したのは1915年というからちょうど100年前。

 アル・カポネは、シカゴを牛耳っていた頃にこのホテルに隠れていたことがある。橋を渡って警察が追ってきたのを見て、地下にあったトンネルから逃亡したのだとか。

金庫を模したアル・カポネ・スイートのドア。

 5年ほど前に約3300万ドル(約40億円)をかけて改装。エレガントなクラシック・ホテルになった。今でもバーカウンターやリビングが設けられた豪奢なアル・カポネ・スイートという部屋が残り、当時の雰囲気を残している。

“メイン・ストリート・プラター”は日本ではお目にかからないアメリカンな朝ごはん。

 ホテル内にあるレストランの「キャロライン」という店名は、創業者のひいひいひいおばあさんの名前。女手一つで5人の子供を育てた人だったそうで、家庭で休日に作るような手の込んだアメリカン・ブレックファストが出る。

こちらは“トーストと卵、ハッシュド・ポテト、かりかりのベーコン”。

 4つものバターミルク・ビスケットとハッシュド・ポテトにソーセージとたっぷりのグレービー(肉汁)ソース、さらに2個の目玉焼きにオリジナルのチェダーチーズ・ソースがかかった“メイン・ストリート・プラター”にチャレンジしてみたい。このグレービー、見た目はドロっとして驚かされるが、カリッとしたポテト、塩味のビスケットにソーセージ入りチーズクリームシチューをかけた感じ。さくっとした歯触りとソースのクリーミーさが絶妙だが、ボリュームとカロリーはすごそうなアメリカの味だ。

“バナナ・ブレッド・フレンチトースト”というシンプルメニューも。

Hotel Julien Dubuque(ホテル・ジュリアン・ダビューク)
所在地 200 Main Street, Dubuque, IA 52001
電話番号 +1-563-556-4200
URL  http://hoteljuliendubuque.com/

2015.03.18(水)
文・撮影=小野アムスデン道子