パンク寸前に尾上右近がハグ
――第三部で『火の鳥』が上演された12月は、第一部で超歌舞伎Powered by IOWN『世界花結詞』、第二部では『丸橋忠弥』と各部すべてにご出演。新作や台本を一部改訂したものばかりでしたから、かなりハードだったのでは?
さらに「新春浅草歌舞伎」の準備や宣伝などもありましたので、頭がパンクしそうになったこともありました。『男女道成寺』の稽古があった日、稽古場を出たところで尾上右近のおにいさんにバッタリお会いしたんです。ご自分のお稽古があるのに僕の話を聞いてくださって、「実はちょっとしんどいんです」というようなことをつい言ったら「まあ、なんとかなるよ!」と、底抜けに明るいエールをいただきました。
――右近さんらしいですね。
最後にはハグしてくださって(笑)。その言葉を聞いてお尻に火がつきました。いつも超パッションで突っ走っている情熱家のおにいさんがそうおっしゃるんですから。
――大先輩の方々も通っていらしたことなのでしょうけれど、年齢の近い人の言葉だと臨場感があって背中を押される感じがしますよね。
はい。おにいさんに偶然、お会いした時点で背中を押されたような気がしました。
――その12月に至るまで2024年9月から休みなく毎月出演。古典に新作にと充実していましたね。
自分にとってやはり大きかったのは、尾上左近という名を多くの方に知っていただくきっかけとなった『刀剣乱舞』です。ゲームとかアニメがもとになっている新作というのは初めての経験で、演出もなさった(尾上)松也のおにいさんはストレートプレイやミュージカルもなさっている方。おにいさんに役を一からつくるということをそれこそ一から教えていただきました。
――「新春浅草歌舞伎」について歴代の出演者の皆さんは「浅草は前年の成果が問われる場」とよくおっしゃっていますが、実感としていかがでしょうか。
『梶原平三誉石切』では娘役の梢をさせていただき、『相生獅子』と『男女道成寺』は舞踊。学んで来たことを生かせる演目で自分の方向性が少しずつ見えて来たようにも思います。
