いま、歌舞伎界では注目の若手がみるみる輝きを増しながら成長を続けています。そんな彼らが一堂に会する公演が「新春浅草歌舞伎」。中村橋之助さんを筆頭に主要キャストがそれぞれの個性を生かしてさまざまな役を演じている中、今回クローズアップするのは尾上左近さんです。昨年は「歌舞伎『刀剣乱舞』」でも幅広い層から注目を集め、2026年のさらなる大躍進が予想される左近さんの初登場インタビューです。
浅草『男女道成寺』で鳴りやまぬ拍手
――昨年に続き2度目のご出演となる「新春浅草歌舞伎」。まずはこの公演についての率直な感想からお聞かせください。
若手が主体となって上演する公演に出演するのは「新春浅草歌舞伎」が初めてだったので、前回はそれがとても新鮮でした。今年は新体制となって2年目ということもあり、個人的にもリラックスして挑めています。やはりお客さまの力は凄いもので稽古の時より楽しんで舞台に立たせていただいています。千穐楽まで精一杯勤めますので、一度ご覧になった方もまた二度、三度とご来場いただけると幸いです。
――第2部で上演中の『男女道成寺』は女方がひとりで踊る『娘道成寺』のアレンジ・バージョン。どんなことを心がけて踊っていますか。
とにかく基礎に忠実に、そして行儀よく、です。踊りの名人と言われる方々の舞台を拝見すると自分流に自由に踊っているような印象も受けますが、それは基礎がしっかりと出来ているから成り立っていること。経験の浅い僕らがそれを真似したらとんでもないことになってしまいます。「新春浅草歌舞伎」第2部の最後を飾る演目なので、お客様に楽しんいただけるよう華やかなものにしたいという気持ちで臨んでいます。
――まさにその通りの舞台となっています。中村莟玉さんの白拍子花子と左近さんの白拍子桜子実は狂言師左近、そして強力役の中村橋之助さん、市川染五郎さんの4人が顔を揃える華やかな幕切れは大変な盛り上がりで拍手が鳴りやみません。
ありがとうございます。「山尽くし」といわれる鞨鼓(かっこ)を用いた踊りのパートでは立廻りも取り入れているので、そこからの流れもあって喜んでいただけているのではないでしょうか。
――「道成寺」ものにはいろいろなバリエーションがありますが、『男女道成寺』ならではの、見どころをもうひとつ挙げていただけますか。
例えば「恋の手習い」という男女の恋愛模様を描いたところは、ひとりで踊る場合は花子の恋人はお客様にとって想像上の人物でしかありません。『男女道成寺』では狂言師左近が花子の恋の相手として目の前に現れます。ふたりで表現しますので、初めてご覧になる方にもとてもわかりやすいと思います。
