みんなの「休んでいいんだよ大臣」になりたい

――何もしない時間を持つことで余白ができて、いいアイディアが思いつくこともありますか?

 のんびりしているときや、散歩しているときにいいアイディアが浮かぶことは確かにあるかもしれません。でもそれを言い出すと「暇を作った方が仕事にも役立ちますよ」って話になっちゃう。そうではなく、休むときはただ暇でいいんです。何にもしなくていいし、何にもならなくていい。

――確かに、「今していることが仕事につながるかもしれない」と少しでも思ってしまうと、休むことにならないですね。

 そうそう。みんな忙しすぎですよ。生産性にとらわれすぎです。生産しなくていいって気づいてほしい。そんなに頑張らなくても大丈夫。何にもしない日があってもいいんだよって伝えたいです。みんなの「休んでいいんだよ大臣」になりたいって思ってます。

――「休んでいいんだよ」って声をかけてもらえると心が軽くなる気がします。

 人って、やらなきゃいけないって思い込んでしまっていることが多いですよね。けれど、やらなくてもいいことって意外とたくさんある。私も以前は「料理をしなくてはいけない」「野菜を食べなくてはいけない」「ちゃんとしたものを食べなくちゃ」、そんなふうに考えていました。もともと料理をするのが好きだから、元気があるときはそれでもいいのですが、うつのときも何かを作ろうと思ってしまっていて。でも、考える気力がわかず、何も作れないままお腹がすいて倒れ込んでしまう、みたいなことをしてしまっていました。よく考えてみれば、作る気力がないならたまにはカップラーメンが2食続いてもいいんですよね。

 「そもそもどうしてこれをやらなきゃいけないととらわれているんだろう」と立ち止まって考えてみると、実ははっきりとした根拠がなかったり、誰かの価値観をインストールしているだけだったりするのかもしれません。調子がいいときの自分と比べてしまっているってこともありますよね。

 過剰にやらなくていいんです。ハードルをうんと下げて、疲れたらしっかり休む。時短レシピを探して無理に料理をしなくても大丈夫。買ってきたお惣菜だって、お菓子だっていい。死なないですから。

山田由梨(やまだ・ゆり)

作家、演出家、俳優。1992年生まれ。東京都出身。立教大学在学中に劇団「贅沢貧乏」を旗揚げ。全作品の作・演出を務めるほか、ドラマ脚本・監督、小説の執筆なども手がける。『フィクション・シティー』『ミクスチュア』で岸田國士戯曲賞最終候補ノミネート。主な脚本担当ドラマにNHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』など。Podcast『山田由梨の眠れないなら茶をのんで』を配信中。

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