赤川花火大会(山形県)

昇曲付三重芯変化菊(のぼりきょくつきみえしんへんかぎく):花火が昇っていくときに、緑色に点滅する小花を次々に咲かせていき、中心から銀色の輪、明るい朱色(明るいオレンジ色)の輪、明るい青色(パステルカラーの水色)の輪、そして大輪は紅色からピカッと光る「光 露」で強い光を発して四重の輪に開く「三重芯菊」。花火用語では、「輪」のことを「芯」といいます。そして、大きい輪を数えないことから、四重の輪に開く のに「三重芯」といいます。

 赤川の花火は1991(平成3)年から開催されています。秋田県大仙市「全国花火競技大会 大曲の花火」の隣県で、大規模な花火大会が開催されるとあって大変話題を呼んだ大会です。私も初回から撮影で訪れ、素晴らしい花火大会だと感動しました。

 この花火大会では、全国トップクラスの花火師が競い合う「全国デザイン花火競技会」という日本でここだけの競技が繰り広げられます。

 横幅100メートルの空間を使って美しさを競うのですが、使用することが許されている花火の大きさは7号玉まで。7号玉は、直径約21センチ、重さ約2.7キロで約250メートル上空に昇り直径約220メートルも開花する花火です。

 繊細にデザインされて打ち上げられるワイドスターマイン(連続打ち上げ)の花火を見ていると、それぞれの花火師さんのこだわりの逸品と個性が現れて実に楽しく華々しい競技といえます。

 その競技とは別に、さらに四つもの大きなワイドスターマインが打ち上げられます。エンディングでは、最大打上げ幅700メートルものワイドスターマインで、10号玉も上げられとにかく圧巻されます。それに加え、昨年は大玉の20号玉が6発も打ち上げられ、今年は何発打ち上げられるのかも楽しみです。

 広々とした打ち上げ会場の赤川河畔にふさわしいワイドスターマインと大玉の「音」と「光」のスケール感は特筆ものです。

 花火大会では、打ち上げ後に煙がその場に残って鑑賞を損なうことがありますが、「うちわでパタパタしましょう!」という機転の利いたアナウンスで、観覧者が一斉にうちわをあおいで風を起こしている会場の雰囲気は和気あいあいとして、とても楽しい花火大会といえます。

大会概要
【大会名称】 赤川花火大会
【開催場所】 山形県鶴岡市赤川河畔(羽黒橋から三川橋まで)
【観覧席】 有料観覧席あり(要予約)
【アクセス】 JR羽越本線庄内駅徒歩15分
【URL】 http://www.akagawahanabi.com/
【問い合わせ】 赤川花火大会実行委員会
      TEL:0235-28-1873 FAX:0235-28-1225

泉谷玄作(いずみや げんさく)
写真家。1959年 秋田県に生まれる。花火の撮影をライフワークとする。現代美術作家、蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の依頼で、2002年MoMA(ニューヨーク近代美術館)主催の「動く虹」の花火や、2003年ニューヨークセントラルパーク150周年記念の「空の光輪」の花火などを撮影。著書に、『心の惑星-光の国の物語』(クレオ)、『日本列島 四季の花火百華』(日本カメラ社)、『静岡県ふくろい遠州の花火』(日本カメラ社)、『花火の図鑑』(ポプラ社)、『花火の大図鑑』日本煙火協会/監修 (PHP研究所)、『日本の花火はなぜ世界一なのか?』(講談社+α新書)など、花火に関するもの多数。日本写真家協会会員。

 

2014.07.17(木)
文・撮影=泉谷玄作