宮島水中花火大会(広島県)
世界遺産「厳島神社」を舞台にした海上の花火大会です。
大会名ともなっている「水中花火」とは、水中で開花させる花火のことで、通常は球形に開く花火ですが、水中で開花するため下半球は水面下に没して、上の半球のみが水上に現れます。
投じられる水中花火は200発で、そのうちの100発が10号玉だから驚かされます。10号玉は、直径約30センチで重さ約9キロですが開くと、直径約320メートルもの大半球になります。それが、100発ともなると「ドーン」、「ドーン」、「ドーン」と海流に逆らいながら、うねりとしぶきを浴びせつつ轟音がこだまします。
沖合400メートルの海上に浮かぶ船上で点火された花火は、人の手で海上に投げ込まれ、「ドーン」、「ドーン」と花火が開くたびに、朱色の大鳥居や、紅の社殿のシルエットの明暗が、幽玄な光彩に照らされながら、やわらかくもありくっきりとも浮かび上がってきます。また、沖合には観覧船が約500隻も浮かんでおり、花火が開くたびにシルエットが浮かび壮観です。まるで平安時代の絵巻物をみているような趣きです。
海水に満たされ、その上に浮かんでいるかのような社殿からは、その底を這うような波の満ち引きの音が聞こえてきます。そして水中花火が花開くと、その半球が大きくなったり、小さくなったり、大小さまざまな色彩の妙を見せてくれます。花火の開くタイミング、その間のとり方にも、こういう空間だからでしょうか、日本的優美さを感じずにはいられません。
1971(昭和46)年が開催初年。単発の水中花火はもちろんですが、海上スターマインにも感動します。
大会概要
【大会名称】 宮島水中花火大会
【開催場所】 広島県廿日市市宮島町 嚴島神社大鳥居沖合の海上
【観覧席】 有料観覧席あり(要予約)
【アクセス】 JR山陽本線宮島口駅下車または広島電鉄宮島口駅下車、宮島口桟橋より宮島港行きフェリーで10分 瀬戸内シーライン高速船広島港から宮島港行き約23分
【URL】 http://www.miyajima.or.jp/event/event_hanabi.html
【問い合わせ】 宮島水中花火大会実行委員会
TEL:0829-44-2011 FAX:0829-44-0066
2014.07.13(日)
文・撮影=泉谷玄作