伊勢神宮奉納全国花火大会(三重県)

昇曲導付三重芯変化菊(のぼりきょくどうつきみえしんへんかぎく):この花火は、「ドーン」と音がして昇っていく時の光彩が「錦色」で昇りながらも左右に火花を散らして、四重の輪の大輪に開く花火です。「ドーン」と音がして花火が開くまでの間に、「左右に火花を散す」この形は、「昇分火(のほりぶんか)」などと呼ばれ、総称で「昇曲導」という玉名が付けられます。大輪の下部の多くの小花は、10号玉の前に打ち上げられた5号玉の花火。花火師によって輪の光彩の配色が違うので、あなた好みの花火を見つけてください。

 日本各地に〇〇神宮と名のつく神社はありますが、単に「神宮」といえば「伊勢神宮」を指します。つまり、伊勢神宮奉納全国花火大会は、「神宮」に花火を奉納する唯一無二の花火大会ということです。

 伊勢神宮では20年ごとに、神殿を建て替えて神体を移す「式年遷宮」を行っていますが、1953年(昭和28年)に行われた「第59回神宮式年遷宮」の際に記念奉祝行事として花火大会が開かれて以来毎年行われるようになり、現在に至っています。「花火大会でパワースポットがありますか?」と聞かれることがありますが、まず「神宮」に花火を奉納している「伊勢神宮奉納全国花火大会」ですよと答えることにしています。

 大会の歴史が古く、今年で第88回の秋田県大仙市「全国花火競技大会 大曲の花火」、第83回の茨城県土浦市「土浦全国花火競技大会」とともに「日本三大競技花火大会」の一つでもあります。 北は秋田県から南は鹿児島県まで、全国の煙火店が参加し、日頃の研鑽を競い合うのです。

 屋台が向き合い小道ができる風情は「伊勢神宮」の花火大会ならでは。浴衣を着た若いカップルも多く訪れています。

 2014年の花火は、その前年の秋に行われた「第62回神宮式年遷宮」後の初の大会で、60年に一度の「おかげ参り」の年ともなりました。

大会概要
【大会名称】 伊勢神宮奉納全国花火大会
【開催場所】 三重県伊勢市  宮川河畔(度会橋上流)
【観覧席】 有料観覧席あり
【アクセス】 電車:JR・近鉄伊勢市駅と近鉄宇治山田駅より臨時バスで約10分。バス停車場より徒歩5分~20分(観覧場所によって所要時間が変わります)。
【URL】 http://www.city.ise.mie.jp/
【問い合わせ】 伊勢神宮奉納全国花火大会委員会事務局(三重県伊勢市産業観光部観光事業課内)
         TEL:0596-21-5566 FAX:0596-21-5522

泉谷玄作(いずみや げんさく)
写真家。1959年 秋田県に生まれる。花火の撮影をライフワークとする。現代美術作家、蔡國強(Cai Guo-Qiang)氏の依頼で、2002年MoMA(ニューヨーク近代美術館)主催の「動く虹」の花火や、2003年ニューヨークセントラルパーク150周年記念の「空の光輪」の花火などを撮影。著書に、『心の惑星-光の国の物語』(クレオ)、『日本列島 四季の花火百華』(日本カメラ社)、『静岡県ふくろい遠州の花火』(日本カメラ社)、『花火の図鑑』(ポプラ社)、『花火の大図鑑』日本煙火協会/監修 (PHP研究所)、『日本の花火はなぜ世界一なのか?』(講談社+α新書)など、花火に関するもの多数。日本写真家協会会員。

2014.07.01(火)
文・撮影=泉谷玄作