有名な高浜海水浴場よりも人気の穴場ビーチは……?
福江島の人気ビーチといえば、高浜海水浴場。遠浅が広がる涼やかなターコイズブルーの海と白砂が美しい、「日本の渚100選」と「日本の水浴場88選」などに選ばれている、お墨付きの絶品ビーチです。
丘の上にある魚籃観音から高浜海水浴場を見下ろすと、岬をはさんだ、潮による白砂模様が美しい頓泊(とんとまり)海水浴場の両方が望め、まさに絵画のような美しさです。

けれど今回は、地元の人にとって人気の、観光客にとっては穴場だという、高崎ビーチにフォーカス。夏は高浜よりも実は人気が高いとか⁉
高崎ビーチが位置するのは、福江島の中心街から車で約35分の島の北西部の三井楽エリア。県道233号線から脇道に入った、こぢんまりとした漁港を抱えた小さな集落です。
この高崎ビーチに、友人が一棟貸しのヴィラをオープンしました。

どんなお宿なのか、見てこようと福岡へ行ったついでに足を延ばしてみることにしました。おそらくこのヴィラがなければ、高崎ビーチの存在も知らないままだったことでしょう。
高崎ビーチは、隆起に伴う火山活動により流れ出た溶岩海岸をもつ、白砂の幅があるスケール感のある浜です。島の西側に位置していますが、サンセットのみならず、朝日が照らす沖の島々も美しい。朝、誰の足跡もついていないビーチを散策するのも贅沢な気分です。
友人の宿の名前は「TAKASAKI STAY」。この島の成り立ちである地形や地質(ジオ)を通じて自然との繋がりを感じられる滞在をテーマに、ジオこそが島の美しさや食の豊かさを担っていることを、伝えるのがコンセプト。
宿を手がけた友人がインバウンド・マーケティングの仕事で日本各地を旅して出会った逸品や、これまで世界各地のラグジュアリーホテルに滞在した経験が詰め込まれています。
建物の構造は教会からインスピレーションを受けたそう。一段上がったベッドルームは祭壇のようですし、壁にかかった五島の海をイメージしたという美濃手漉き和紙の職人千田崇統の作品は、まるでジェイコブズ・ラダー(雲の隙間からいく筋も差し込む放射状の太陽光)のよう。

キッチンのタイルアートは、五島列島の成り立ちに由来する、砂泥互層をピクト化したデザイン。印象的な赤色は、五島列島の伝統のバラモン凧のイメージで、ビビッドな色使いが印象的です。バスアメニティは五島の特産品の椿油を使ったえりすぐりのもの。手ぶらで来てもいいように、アメニティは揃っています。


また、友人がこれまで宿泊先で不自由に感じたことを解消すべく、あちこちに電源のコンセントも配置。実は、ノマドワーカーにもおすすめのお宿です。

2025.09.20(土)
文・撮影=古関千恵子