この記事の連載

 前篇では、劇場アニメ『ひゃくえむ。』の主人公・トガシの役を通して“俳優としての覚悟と孤独”を語ってくれた松坂桃李さん。後篇では、プレイベートのお話へ。多忙ななか、オフでは一杯のアイスコーヒーやステーキに心癒されながら、働くときも家族と過ごすときも「自分らしくいたい」と語ります。


姉と妹にはさまれて育ったからこそ聞き上手に?

――この作品には、トガシをはじめとして個性的なキャラクターが多く登場しますが、松坂さんがいちばん惹かれたのは誰ですか?

 悩みどころですが、海棠が好きです。一番年長で、まわりから見たら現役にすがっているように見えるかもしれないけど、そうじゃない。アスリートでいることへの向き合い方が本当にきれいで、清々しさすら感じます。

 あそこまで体力やメンタルを維持するのは、本当に大変だと思うんです。たったの10秒にかける世界に居続けること自体も、すごい精神力だと思うし。かなり好きなキャラです。

――さまざまな人物が出てくるなかで、トガシは自分の知らないところでライバル視されているシーンがありました。他人だから見える長所があるせいだと思うのですが、松坂さん自身がまわりに言われて気づいた長所はありますか?

 強いて言うならですけど、先輩から「聞き上手だよね」と言われたことがあります。ただ、別の先輩からは「お前、話聞いてるか?」って言われたこともあるので(笑)、相手によるのかもしれません。

 もし本当に聞き上手なんだとしたら、育った環境のせいだろうとは思います。姉と妹に挟まれて成長したので、自分がしゃべるよりも二人の話を聞く時間の方が圧倒的に長かったんです。自然とひたすら聞かざるを得なかったというか(笑)。

2025.09.18(木)
文=晴山香織
撮影=平松市聖
ヘアメイク=AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)
スタイリスト=猪塚慶太