生まれつき顔の左側の骨が成長しない「左顔面骨形成不全症」のあやかさん。病気の影響で左目の視力はほとんどなく、左耳も聞こえにくい。数十回手術を繰り返す中、ギャルに憧れていたあやかさんは、“おしゃれ眼帯”を自作することでギャルメイクも楽しむ術を編み出した。
そんなあやかさんに、普段の生活から治療のこと、また、病気を持った人が社会で生きることについて、話を聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)

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骨が成長しない「左顔面骨形成不全症」
――あやかさんは生まれつき「左顔面骨形成不全症」ということですが、これはどんな病気ですか。
あやかさん(以降、あやか) 顔の左半分の骨が成長しない病気です。骨が成長しないと同時に、顔の左側の脂肪も最初はなかったみたいで。
あとは、形成不全のところもあって、耳が垂れ下がっていて穴が小さかったり、目も左右対称じゃないし、口も曲がってたりします。
――聴力や視力にも影響が?
あやか 左目は視力がほとんどないです。左耳は聞こえづらいですけど、聴力自体が失われているわけではないですね。
目に見えない部分でいうと、噛み合わせも悪いです。
――生まれてすぐ「左顔面骨形成不全症」という診断がついて治療をしたのでしょうか。
あやか 生まれてすぐは腸がおかしかったみたいで、あと10分処置が遅れていたら命がなかったらしく。
――それも左顔面骨形成不全症と関係が?
あやか 顔とはまったく別の病気です。生まれた直後の私を見て、父親が思わず「顔が変だぞ」って母親に言ってしまったらしいんですけど、すぐに人工肛門をつけないといけない状態でそれどころじゃなく、半年くらいはつけていたと聞きました。

腸の手術から戻ってきた私の姿があまりにも酷くて、情けなさとショックで母親は倒れてしまったらしいです。
大腸の方が落ち着いた後も、先生からは「いずれ顔は治るでしょう」みたいな感じで。結果的には治らなかったんですけど。
地元では「あやかちゃんはこういう子」と受け入れてくれてた
――幼少期、左顔面骨形成不全症によって生活に支障はなかったですか。
あやか 生まれてからずっと片目しか見えないし、左耳も聞こえづらいので、それを不便に感じたことがないというか、当たり前だったので、病気の自覚もなかったんですよね。
「距離感が掴めないでしょ」とかって言われるんですけど、それもずっとピンとこなかったし、困ったこともあんまり記憶にないんです。
あとは、私が田舎出身っていうのも大きいかなと思ってて。
――皆周りは知り合い、みたいなことですか?
あやか そうですそうです。私は岐阜のめちゃくちゃど田舎の出身なんですけど、周りはみんな顔見知りだったから、「あやかちゃんはこういう子」という感じで、普通に受け入れてくれてたんですよね。
周りも気を遣ってくれてたのかもしれませんが、見た目のことでなにか言われたりするようなことはなかったんです。
2025.09.04(木)
文=小泉なつみ