この記事の連載

浅間山麓の自然に囲まれ、清らかな川が流れる“谷の集落”「星のや軽井沢」。後篇では、メインダイニング「日本料理 嘉助」で味わう季節の夕食、サステナブルなエネルギーの自給システム「EIMY(Energy In My Yard)」、自然と調和する環境のなかで深い眠りが叶う滞在プログラム「眠りの逗留」をご紹介していきます。
信州の季節の滋味を味わう「山の会席」
「星のや軽井沢」のメインダイニング「日本料理 嘉助」では、四季折々の食材を盛り込んだ会席コース「山の会席」を提供しています(1人 21,780円。税サ込・宿泊料別)。
夏の献立には、やわらかな肉質と澄んだ風味が魅力の夏鹿やその日入った魚介、色鮮やかな夏野菜などを取り入れ、避暑地・軽井沢ならではの涼を感じられる、贅沢な食体験を楽しめます。※料理内容や食材は仕入れによって変わることがあります。


例えば、序盤に登場した椀盛は、滋養豊かなすっぽんを真薯に仕立てた、夏のからだにやさしく沁みわたる一品。すっぽんの出汁に昆布の旨みを重ね、琥珀色に澄んだ香り高いお椀に仕上げています。生姜の香り、素麺の喉ごし、冬瓜の涼やかな食感が、夏の疲れをそっと癒してくれる、まさに暑気払いにふさわしい一品です。
進肴は、トウモロコシの摺り流しと春巻。青柚子をあしらった摺り流しの爽やかな口当たり、とうもろこしの粒がぎっしり入った春巻きの弾ける甘みがたまりません。春巻きをすり流しにディップしても美味。


冷鉢は、夏鹿のローストと丸茄子。夏鹿のしっとりとした旨みと、甘長唐辛子のほろ苦さ、ネギの繊細な口当たりが、味わいに奥行きを生み出します。暑さに疲れたからだにもすっとなじむようにと、鹿出汁の冷製餡をまとわせて。軽井沢の涼やかな気候と山の恵みが凝縮された、信州の夏を映すひと皿です。

星野家が継承してきた「嘉助」の名を冠した「日本料理 嘉助」は、客席を「川床」、通路を「川」、もう一方にそびえる御影石の壁面を「山」に見立ててつくられています。自然豊かな景色との一体感を感じながら、唯一無二の食体験が叶います。
2025.08.23(土)
文=伊藤由起
写真=平松市聖
写真協力=星のや
協力=星野リゾート