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 主演映画『風のマジム』では、夢に向かって一歩を踏み出す女性を演じた伊藤沙莉さん。俳優としての歩みから、暮らしの中で大切にしている時間、そしてコミュニケーション術を伺いました。自然体で語られる言葉に、彼女の人柄がにじみ出ます。


犬を抱っこしながら『デスパレートな妻たち』を観るのが幸せ

──本作『風のマジム』で伊藤さん演じる伊波まじむが「お酒ってなんでこんなに幸せな気持ちにさせてくれるんだろう」と言うシーンがありますが、伊藤さんは今どんなことをしている時に幸せを感じますか?

 まじむと同じようにお酒!(笑) まじむのセリフには100%共感します。お家で飲むことが多くて、最初は必ずビール、気分によってワインかジンにいきます。ごはんを食べながらビールを飲んで、ソファーに移動してもう一杯飲む、というのが本当に幸せ。

──お忙しい中、お料理も作られるんですね。伊藤さんの得意料理はなんですか?

 卵だけで作る、「たまご丼」です。得意料理といっても、料理家リュウジさんのレシピなんですが(笑)。本当においしくて。「これ、本当に私が作ったのかしら?」という気にさえさせてくれる。作りすぎてもうレシピを見ずに作れるようになりました。おいしいので家に遊びに来る人みんなに作っています。

 映画に出てくる食べものでいえば、ゆし豆腐がとてもおいしかったです。出来立てを食べるのが本当に最高で。豆の風味がしっかり感じられて、どこかほっとするような、優しい味わいでした。

──食べものやお酒以外に、幸せを感じる瞬間はありますか?

 最近、犬と一緒に暮らし始めたんです。もうかわいくてかわいくて、夢中になっています。朝の散歩や、ごはんの時間が決まっているので、私も規則正しい生活を送るようになりました。変なものを口にしたらいけないのでまめに掃除機もかけますし、その子のために仕事から直帰するようになりました。びっくりするくらい生活スタイルがガラッと変わりましたね。なんだか母親になったような気持ちで日々過ごしています。

 海外ドラマが大好きなんですが、犬を抱っこしながら観ていると心からリラックスできます。「今、大きい音がしたね。こわかったねぇ」なんて声をかけながら観るのが楽しくて、幸せ。

──海外ドラマは、どのような作品がお好きですか?

 『デスパレートな妻たち』を繰り返し観てます。こればっかりなので、家族や友達にも「なんのためにそんなに何回も観てるの?」ってびっくりされてます。

 話もすべて把握しているはずなのに、毎回新しい発見があって中毒性があるんです。女性ならではの会話に人間らしさを感じるんですよね。友達が新しい洋服やバッグを身につけていたら、「似合っているね」「かわいいね」と褒めてあげるちょっとしたルールのようなやりとりって私たちもよくするじゃないですか。それがドラマでもしっかりと描かれていて「世界が違ってもみんな一緒なんだ」と安心するんです。新しいドラマもチェックしないと、と思いつつも結局は『デスパレートな妻たち』に戻っちゃいますね。

2025.08.29(金)
文=高田真莉絵
撮影=佐藤 亘
ヘア&メイク=岡澤愛子
スタイリスト=吉田あかね