30年以上続き、世界屈指の繁殖実績をあげたアドベンチャーワールドのジャイアントパンダ飼育。それがいったん幕を閉じるということで、良浜(らうひん)と娘の結浜(ゆいひん)、彩浜(さいひん)、楓浜(ふうひん)の中国行きは大きな話題となりました。4頭が中国へ旅立つまでの約2カ月間を振り返ります。


渡航はある程度予想されたことでもあった

 和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドと中国のジャイアントパンダ保護共同プロジェクトは1994年9月に始まり、契約期間満了は今年8月。パンダが苦手な暑い時期の移動をなるべく避けるため、4頭の中国行きは6月28日(土)に決まった。

 アドベンチャーワールドが4頭の中国行きを発表したのは4月24日(木)。直後から大きな反響を呼び、SNSでは別れを惜しむ声が相次いだ。

 一方で、4頭の渡航はある程度、予想されたことでもあった。アドベンチャーワールドと同じく、成都ジャイアントパンダ繁育研究基地(以下、成都基地)からパンダを受け入れているスペインのマドリード動物園が昨年3月に親子5頭、アメリカのアトランタ動物園が昨年10月に親子4頭を成都基地に送り出していたためだ。

 しかも、このパンダたちのうち、マドリード動物園で生まれた1頭、アトランタ動物園で生まれた双子は、結浜と同じ2016年生まれで、生まれた日も近い。この4頭は7~8歳での渡航となった。中国がパンダを外国に譲渡でなく貸与するようになって以降、各国で生まれたパンダは、おおむね5歳までに渡航しており、7~8歳は遅いほうだ。

 また、楓浜は最年少とは言え4歳。上野動物園も、同園で生まれた双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)の渡航期限が2026年2月20日、つまり4歳で中国へ行くことを昨年8月30日に公表していた(参照:リーリーとシンシン帰国1カ月間ドキュメント)。

2025.08.22(金)
文・撮影=中川美帆