成都基地で公開中の最高齢のパンダは27歳

 検疫後の4頭について、成都基地が(1)公開するかしないか、(2)公開するならいつか、(3)引き続き成都基地で飼育するか他の施設に移すかは、明らかになっていません。

(1)公開するかは、年齢が左右することが多いです。永明は中国への渡航時に30歳と高齢だったので、成都基地ではずっと非公開のエリアで過ごし、今年1月25日(土)に生涯を閉じました。成都基地が永明の死を公表したのは、死の約20日後でした。

 成都基地の公開エリアにいる最高齢のパンダ(野生下で保護され生年月日が不明なパンダを除く)は、27歳の3頭。小双(シァォシュゥァン)と前述の倫倫、洋洋です。そのため24歳(今年9月6日で25歳)の良浜は、年齢だけで考えるなら公開される可能性があります。

(2)渡航から公開までの期間は、個体によって幅があります。パンダからすれば、住む場所、食べ物、飼育員や獣医師、さらに聞こえてくる言語も変わります。近くにいるパンダや人のにおい、音に敏感に反応するパンダもいます。

 こうした環境の変化への適応度や性格などを踏まえ、公開まで時間をかけることもあります。東京の上野動物園で生まれた香香(シャンシャン)は繊細な性格とみられていて、四川省の雅安で公開されたのは、渡航の約8カ月後でした。(参照:中国ではシャンシャン見放題? 初公開から3日後の様子をレポート 上野動物園との違いは)。

(3)アドベンチャーワールドから成都基地に渡り、その後、他の場所に移動となったパンダもいます。例えば、優浜は安徽省にある宿州野生動物園で暮らしています。また、筆者は秋浜を2018年7月に広東省の深圳野生動物園で、陽浜を2023年6月に四川省の成都動物園で観覧しました。

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中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(12カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo

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2025.08.09(土)
文・撮影=中川美帆