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こんなにすごい『歌舞伎刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』見どころ紹介

歌舞伎劇作者によるオリジナルストーリー

 歌舞伎の演目を執筆するには、歌舞伎を熟知し、独自の技術が必要です。今回の脚本は初演に引き続き、松岡亮さん。歌舞伎脚本の執筆を多数手がけ、初音ミクと獅童さんの『超歌舞伎』では全作品を担当されています。

 『刀剣乱舞』の世界を忠実に再現しながらも、歌舞伎ならではの「本丸」(刀剣男士たちの拠点)を表現したセットや「歴史の改変」という物語の構造、せりふひとつひとつにこだわりが光ります。初演とのつながりも感じられ、「とうかぶ」の世界がしっかりと作り込まれています。

“審神者”の皆さんならすぐ気づくはず! ゲームファンが楽しめる仕掛けも満載

 例えば、作品の中にゲームのせりふが織り込まれていたり、とある“お団子”が登場したり、背景がどこかで見たものだったり……。

 『刀剣乱舞』のプレイヤー(通称・審神者)やゲームファンの皆さんが楽しめる仕掛けもたっぷりと盛り込まれています。ぜひ探してみてください。

歌舞伎の技術を駆使したセット

 クライマックスに登場する鶴岡八幡宮の階段をはじめ、大がかりで意表をつくような大道具・仕掛けから、歌舞伎の伝統的な室内背景まで、様々な舞台装置が作られています。

 これらのセットは歌舞伎400年の歴史を支える技術に裏打ちされたものであり、とりわけ、所作事の中で季節に合わせて変わる背景は、松也さんによると、ゲーム『刀剣乱舞』の背景アイテム「景趣」を歌舞伎用に再構築したものとのことです。

2025.08.07(木)
文=宇野なおみ
写真=佐藤 亘