この記事の連載
『歌舞伎刀剣乱舞』前篇
『歌舞伎刀剣乱舞』 後篇
出演俳優を徹底解説! 中村鷹之資、河合雪之丞
同田貫正国役/中村鷹之資


同田貫正国は、九州肥後の刀工・同田貫藤原正国の手による刀。実用性を第一とし、装飾がないがっしりとした刀。兜すらも割ったという逸話があります。今回の出陣ではサポート役として登場します。
初演のキャストが発表されたとき、大いに話題になった同田貫正国を、再度演じる初代 中村鷹之資さん(屋号・天王寺屋)は、人間国宝・五代目 中村富十郎さんのご子息。踊りの名手との呼び声が高く、軽妙な足さばきや身のこなしで、観客を魅了しています。
今回は実朝を暗殺した公暁役との二役。僧として俗世と距離を置いた公暁の、純粋ゆえにやや暴走しやすい側面を繊細に演じています。所作事の場面ではまさに本領発揮といった、見事な踊りを披露。お見逃しなく!
小烏丸役/河合雪之丞


すべての刀剣の父と自らを称す小烏丸。鬼丸国綱同様、御物として宮内庁にて管理されています。「父」と呼ぶにふさわしい、刀剣男士を見守るようなキャラクターです。
演じる初代 河合雪之丞さん(屋号・白兎屋)は、もともとは澤瀉屋の歌舞伎俳優。一般家庭から歌舞伎の世界に入り、現在は「新派」という劇団に所属しています。
女形として数多くの舞台に立ち、今作は北條政子も演じます。所作事では、那須与一の逸話をモチーフにした場面を担当されていますが、そのたおやかな動きは美しいの一言です。
2025.08.07(木)
文=宇野なおみ
写真=佐藤 亘