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注目の企画展も続々開催されるアート発信地

◆Vladem Contemporary[ヴラデム・コンテンポラリー]

 サンタフェの今のカルチャーを体感するなら、出かけてみたいのがサンタフェ・プラザから徒歩で15分ほどのレイルヤード地区。おしゃれなカフェやレストラン、クラフトビール店などが集まり、毎週土曜にはファーマーズマーケットも開催されます。

 また、サンタフェ駅のすぐそばには、現代アートに特化したニューメキシコ美術館の別館「ヴラデム・コンテンポラリー」が。1936年に建てられた倉庫を改装して、2023年に誕生したミュージアムです。

 常設展示のほか、企画展も評判で、2025年9月21日までは、アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)をテーマにしたユニークな展覧会「Timeless Mucha: The Magic of Line」を開催。彼の芸術が1960年代以降のアメリカ・グラフィックアートなどへ及ぼした影響をひもとく興味深い内容となっています。

 さらに、サンタフェを拠点にフェミニズム・アート運動を理論と実践の両面から支えたルーシー・R・リパードの企画展も10月10日からスタート。こちらも注目です(2026年8月9日まで)。

 また、レイルヤード地区には、革新的なプログラムに定評のある現代アート施設「SITE Santa Fe」(入場無料)があるほか、多くの来場者でにぎわうのが、毎年7月に開催される「インターナショナル・フォークアート・マーケット(IFAM)」。

 世界各国から約150人もの民芸アーティストが集結する世界最大級のイベントで、多彩で奥深い伝統工芸の世界にどっぷりひたることができます。ちなみに参加するアーティストから直接作品を購入することも可能で、その収益は彼らの故郷のコミュニティへと還元されます。

アート三昧の1日を過ごせるミュージアムヒルの至宝

◆Museum of International Folk Art[国際フォークアート博物館]

 そしてサンタフェが誇るもうひとつのアートスポットが、サンタフェ・プラザから車で10分ほどの「ミュージアムヒル」。広大な敷地に世界レベルの美術館、博物館、植物園などが集まる複合アートエリアです。

 その一角にあるのが、世界最大級の民芸の殿堂「国際フォークアート博物館」。館内は、創設者であるフローレンス・D・バートレットにちなんだ「バートレット・ウィング」をはじめ、5つのエリアに分かれています。

 圧巻なのが「ジラード・ウィング」。ハーマン・ミラー社のディレクターを務め、ミッドセンチュリーモダンを牽引したクリエイター、アレキサンダー・ジラード(1907-1993)が世界100か国以上で収集した民芸品が館内にぎっしり……。

 ジラードが妻のスーザンとともに世界を旅して集めたという民芸品の数、なんと10万点以上! そのすべてがミュージアムに寄贈されましたが、展示スペースに並ぶのはそのうちのわずか1万点とのこと(それでもすごいのですが……)。

 このほかミュージアムヒルには、インディアン芸術文化博物館、ホイールライト・アメリカンインディアン博物館、ヌエボ・メヒカーノ伝統芸術博物館、サンタフェ植物園が。眺望が素晴らしいカフェにもぜひ立ち寄ってみたい。

 なお、ミュージアムヒルへはサンタフェ駅からシャトルバスが運行しているほか、サンタフェ・プラザからは、路線バス「Mライン」で約20分です。

 【次回は9月12日(金)に記事公開】誕生100周年の「ルート66」の魅力をお伝えするこのシリーズ。次回は、優雅で奥深い文化を育んできた古都サンタフェのリゾートライフをご紹介します。

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2025.08.22(金)
構成・文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵
協力=GO USA