#318 Monterey(California,USA)
モントレー(カリフォルニア、米国)

 カリフォルニアのセントラルコースト、サンフランシスコから南へ車で約2時間のところに位置するモントレー。おとぎ話から抜け出たようなカーメル・バイ・ザ・シーを後にして、モントレー半島の17マイル・ドライブを抜けてたどりついた港湾都市です。

 岩礁が顔をのぞかせる荒々しい太平洋とビリオネアの別荘地が続く17マイル・ドライブから風景が一変して、モントレーは地元の暮らしとツーリズムが共存する親しみやすい雰囲気。坂道が多く、海抜の高い市街地からカモメが飛び交う太平洋を見下ろせます。

 17マイル・ドライブが走るモントレー半島は、作家スティーブンソンが『宝島』の構想を練った地でしたが、ここモントレーはノーベル文学賞受賞作家スタインベックの創作活動の舞台。『エデンの東』が有名ですが、気になっていたのが『キャナリー・ロウ〈缶詰横丁〉』。イワシの缶詰工場エリアを舞台にした作品で、今でも地名として残っています。

 イワシ産業が栄えたのは、モントレーの地形に理由があります。

 モントレー沖は水深3,600メートルもの海の峡谷、モントレー・キャニオンが水面下に広がっています。この深海から栄養たっぷりの湧昇流が生じ、イワシなど小魚たちの格好の餌場に。そのため19世紀末頃は数軒のイワシの缶詰工場があったにすぎなかった横丁が、第二次世界大戦中にはサンフランシスコをしのぐ賑わいを見せた時期もあったとか。

 そんなキャナリー・ロウを舞台とした小説『キャナリー・ロウ』。読んでみたい。

 けれど、いざ買おうと思って調べてみると、古書の検索サイトで5,500円、中には3万円を超えるものも。この本を所蔵するいちばん近い図書館でも、県をまたがなくてはなりません。原文の電子書籍ならば171円。うーーーん。悩んだ挙句、辞書で調べながら原文を読んでみよう、と。読破に一体、何年かかるんでしょうね。

2025.02.08(土)
文・撮影=古関千恵子