#316 Marquesas Islands
マルケサス諸島(フランス領ポリネシア)
2024年7月26日、ユネスコ世界遺産に登録された、フランス領ポリネシア(タヒチ)のマルケサス諸島。
海を渡ってやって来て発展を遂げた人類文明に対しての文化遺産と、人の手が入らず、保存状態のいい海と陸の環境、そして生物多様性に対する自然遺産、両方からなる複合遺産として登録されました。
地元の言葉で「人間の地」を意味する「テ・ヘヌア・エネタ」と呼ばれるマルケサス諸島は、タヒチ島から北東へ約1400キロ。首都パペーテから国内線で約3時間20分~3時間40分。
ここまで離れていると、タヒチ島とは30分の時差があり、言葉も異なります。マルケサス諸島は古代の先住民族マホヒの影響が残っているとか。
マルケサス諸島は12の島々からなり、今回ご紹介するのはヒバオア島。
神話によると、マルケサスの島々は神様の家の各部分になっていて、ヒバオア島は一番重要な“大梁”の役割を担っています。面積は320平方キロメートルで、マルケサス諸島の中では2番目、フランス領ポリネシア全体では3番目の大きさです。
ヒバオア島は、画家ポール・ゴーギャンが終(つい)の棲家に選んだ島。楽園を求め続けたゴーギャンの目に映った自然と、今もきっと変わっていない景色が島には残されています。
標高1276メートルのテメティウ山が侵食されて生まれた火山島のヒバオア島。寒流のペルー海流に洗われる島は、1000メートル級の山々が海から立ち上がり、海岸線には穏やかな入り江がいくつも連続しています。海の色はボラボラ島のようなトロピカルな感じではなく、どことなく墨が混じったような深い青。粗削りな野性味あふれる島です。
2025.01.11(土)
文・撮影=古関千恵子