#314 La Baule
ラ・ボール(フランス)
今回の旅はフランス西部のロワール川の河口の街、ナントが起点。ナントから電車で約1時間のところに位置するラ・ボールは、150年ほどの歴史を誇る由緒正しいビーチリゾートです。
パリからも、ラ・ボールへはモンパルナス駅から電車で約3時間程度。毎年7~8月のバカンスシーズンには多くのパリジャンが押し寄せ、数週間を海辺で過ごします。そのため夏になると、この街の人口も劇的に増加するとか。けれど、コート・ダジュール(紺碧海岸)に比べると、フランス国外にはあまり知られていない穴場なビーチリゾートです。
ラ・ボールはロワール地方の大西洋に面したビスケー湾沿岸、ポルニシェ港からル・プリガン港までの約9キロメートルにわたるハーフムーン形のロングビーチ。歴史あるブルターニュ文化と海辺の文化が融合した、独特な味わいを感じます。
訪れた9月は夏の賑わいからひと息ついた、落ち着いた風情が漂っていました。朝の潮が引いたビーチでは乗馬クラブの馬たちが仕事前の散策を楽しみ、数人のツーリストが遠浅の海を眺めていました。海岸線には風格のあるリゾートホテルやコンドミニアムなどが連なっています。
貝殻がたくさん拾える淡い色調の砂浜や、白いビルの群れ、そして松林……どこかノスタルジックな風情を感じます。シックな大西洋のリゾート、という印象です。
2024.11.30(土)
文・撮影=古関千恵子