そして最後に少し先の未来を考え綴ってみた。今の私にとって、それは禁じ手であった。私は政治家である。政治家が未来を語るときは、実現可能なマニフェストとして提示する使命がある。本書で私が綴ったのは、まだマニフェストに落とし込めていない内容だ。「政治家のくせに夢物語を語るな」とのお叱り、ご批判は真摯に受け止める用意をしている。しかし、これは職務を離れたひとりの人間としての私の声である。

 願わくば、多くの声に耳を傾け、タブーを解き、共同親権から始めて人間にしかない家族という共同体について考えをめぐらせていただきたい。

 “縁切り”ではなく“縁をつなぐ”新しい日本の家族の未来を思い描きながら。

二〇二五年四月 琵琶湖畔比良浜の自宅にて 嘉田由紀子


「はじめに パンドラの箱を開けた民法改正」より

子どもは誰のものか? 離婚後「共同親権」が日本を救う

定価 1,166円(税込)
文藝春秋
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2025.06.10(火)