カンヌで催されるのはコンペティションだけじゃない!
ようこそ、カンヌ映画祭へ!
去年はスピルバーグが委員長だったり、ディカプリオとレッドフォードの新旧『華麗なるギャツビー』が登場したり、福山雅治主演の『そして父になる』が審査員賞を受賞したりとかなり派手だったが、第67回目の今年は、カンヌの常連だが日本では公開作品のないトルコの名匠ヌリ・ビルゲ・ジェイランがパルムドール(最高賞)を獲得し、よく言えば実直、裏を返せばちょっと地味な感じは否めなかった。
それでも、スターや大物監督は続々やってくる。金城武と長澤まさみ、チャン・ツィイーがジョン・ウー監督の中国版タイタニック『太平輪』(原題)で記者会見を開いたり、『エクスペンダブルズ3』のスタローンとハリソン・フォードが装甲車でパレードしたり。でも、『太平輪』ってまだ撮影中だったんじゃ……?
実はこれ、どれも映画祭の本体で上映されているわけではない。カンヌでは賞を競うコンペティションを筆頭に、招待上映、短編部門などいくつもの部門があるが、世界中の映画が売り買いされるマルシェ・デュ・フィルム(映画マーケット)も開催されている。金城くんもハリソンも、みんなこのマーケット部門で新作の売り込みにやってきているのだ。
そこではポルノからアート映画まで何でもござれ。完成した作品の試写も多いが、まだ完成していない作品も売り買いされる。配給会社のバイヤーは脚本や、ほんの数分のプロモーション映像だけで買うか買わないかの判断をするというわけ。
<次のページ> ここでは、映画も商品なのだなあと実感させられる
2014.05.30(金)
文・撮影=石津文子