大ベストセラー小説『ケインとアベル』が、世界に先駆けて日本で舞台化。インタビュー後篇では、名家生まれの銀行家ケインを演じる松下洸平さんに、今作にかける意気込みを伺いました。銀行の取締役になるケインと過酷な環境で育ったホテル王アベル、対照的な二人の出会いと戦いを通して感じたこととは?
「激しく衝突する二人から、生きる力をもらえる」
――ベストセラー小説である『ケインとアベル』の世界初上演で主役を務められます。プレッシャーは感じていますか。
本来であれば、物語の舞台であるアメリカで上演してから世界中に広がっていく、という流れが一般的だと思うのですが、それをあえて日本で初めて上演するということに、わくわくとプレッシャーを感じています。やるからには、最高傑作と言っていただける作品にしたいです。
この物語の根幹である20世紀初頭のニューヨークの雰囲気や香り、空気感を掴むためにも、原作の小説はもちろん、当時の様子がわかる映像なども時間があるときにチェックするようにしています。
誰もが成功を夢見ながら暮らし、懸命に働いていた当時のニューヨークは、独特のエネルギーに満ちていて、胸を打つものがあります。夢と希望に満ちていて、野心に満ち溢れているケインを演じるヒントをもらっています。
――「ケインとアベル」は、二人の男が出会い、衝突し、お互いの運命を変えていくという壮大な物語です。はじめてこの物語に触れた率直な感想を教えてください。
同じ時代に生まれているのにもかかわらず、環境が異なるだけで、アベルはここまで過酷な人生を歩まなければいけないのか、と衝撃を受けました。
でも時代は違えど二人の青年がニューヨークという場所で夢を掴もうと必死になっている姿に、令和を生きる我々も勇気をもらえるはず。僕自身、生きる力をもらいました。
また、最終的に残るものは恨みや憎しみではなく、友情なんだと気づかせてくれたのが大きいですね。壮大だけれども、愛おしさを感じるような作品だと思います。
2025.01.21(火)
文=高田真莉絵
撮影=深野未季
スタイリング=丸本達彦
ヘア&メイク=KUBOKI(aosora)