「ホテルニューオータニ(東京)」の総支配人の高山剛和さんは手みやげ上手として、つとに知られる。高山さんは1998年、ピエール・エルメ・パリのホテルニューオータニ店出店に関わり、「パティスリーSATSUKI」によるショートケーキの最高峰「スーパーシリーズ」の仕掛け人でもある。
聞くところによるとスイーツ男子でもあるようだ。CREA冬号「贈りものバイブル」では、そんな高山さんに手みやげの極意とおすすめを伺った。ここでは、2024年に総支配人になったばかりの高山さんにホテルマンとして、ビジネスパーソンとしての“手みやげ術”をさらに深堀り。
相手の喜ぶ顔を思い浮かべる時間が、贈りもの
――手みやげ上手とお聞きしています。選択基準はどのようなものなのでしょう。
高山剛和さん(以降、高山) 相手の状況や好みを考えて、じっくり選びます。
「なんとなく」選んだものはやはり響かないものになってしまう。時間がない場合、どうしてもセレクトをお願いすることもあります。
シャープな贈りものにしたいので、希望を細かく伝えます。
――「シャープな贈りもの」いいですね! セレクトはどのように伝えるのですか?
高山 お相手のバックグラウンドや、会社もしくは私との関係性、初めてお会いするのか何度もお会いしているのか、お好みの方向性など事細かく伝えます。直前に差し替えることもあるほど、こだわっています。お渡しするときに、品ものの背後にあるストーリーを自分で語ることができるのも大切です。相手の喜ぶ笑顔を思い浮かべながら選ぶ時間が贈りものでもありますね。
――「ホテルニューオータニ」のホテルマンとしてのセレクトはどのようなものですか?
高山 「パティスリーSATSUKI」のクッキー缶をよく使います。巷では、クッキーだけを詰め合わせた缶がほとんどですが、うちはチョコレートをプラスして、味のバリエーションを豊かにしました。
大中小のサイズがあるので、TPOに応じてセレクトできます。また、「ピエール・エルメ・パリ」と「パティスリーSATSUKI」のコラボ缶もあります。
クッキー缶が大ブームですが、コラボ缶は珍しいと思います。博多あまおうが描かれたアイシングクッキーの、イチゴの代わりに文字を描くことも可能です。「感謝」という言葉や、接待先の企業のロゴマークを入れてお渡しすることも。とても喜ばれます。
――クッキー缶のカスタマイズは喜ばれますね。気持ちが伝わります。
高山 手みやげとしてお渡ししたことで、周年記念の数字を入れたオリジナルのクッキー缶を発注いただいたこともあります。
2024.12.20(金)
文=北村美香
写真=志水隆(人物)、平松市聖(食べ物)