こだわりの味噌餡最中、季節の最中も楽しみ

左:味噌餡有機いちじく最中210円。
右:丁寧に手作りする味噌餡は一度にたくさん作ることができません。

 山本さんが注目したのは、皆に馴染みがない味噌餡。和菓子屋でも、1月の「はなびら餅」と5月の「柏餅」くらいでしか、使われることがなくなっているもの。「私自身が、大好きで」と、オリジナルのレシピを試行錯誤して考案。「福井の有機の米を使った白味噌で、1回に1.5キロと、毎日、少量ずつていねいに炊いています。味噌は発酵食品だから、体にもいいでしょう」。

 炊きたての味噌餡を味見させてもらったら、ほんのりした甘さの奥から塩味が広がって、上品な風味が口の中いっぱいに広がり、ほっこりと幸せな気持ちになりました。

 この味噌餡と一緒に、ほうじ茶でシロップ煮にしたいちじく、キャラメリーゼしたごぼう、沖縄・波照間島の黒砂糖をからめたくるみを、それぞれ合わせて最中にした発想がユニークです。それぞれがアクセントになって、1個の大きめの味噌餡の最中がとびきりおいしくいただけるのです。小豆を炊いた粒餡も、あっさりした甘さ。後口がとてもいい。

春限定の最中。左から、よもぎ230円、いちご270円、梅220円。

 山本さんは、定番だけでなく、季節の最中も創作します。春は「いちご」、「よもぎ」、「梅」に「桜」。夏には、大阪らしい「昆布」やアイス最中。秋冬は「柚子」、「りんご」、マスカルポーネと合わせた「モンブラン」も登場します。和洋をうまくミックスした、楽しいオリジナルの最中です。

「金時人参など、野菜も使っていきたいですね。味噌と野菜は絶対合うはず」

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2014.04.27(日)
文・撮影=そおだよおこ