●『ある女流作家の罪と罰』

 かつてベストセラー作家だった実在のリー・イスラエルは人間嫌いで、同じくぶっきらぼうな猫が唯一無二のパートナー。孤独な人にとって猫は、救世主のような存在でもある。

 しかしある日、飼い猫が病気に。落ちぶれてしまったリーは治療費も払えず、苦し紛れに有名人の手紙を捏造して売る詐欺を思いつく。

 一度猫を飼ってしまうと、どんなに悲しい思いをさせられたとしても、もう猫なしでは生きられなくなってしまう。リーもまた、そんな人生を送るひとりなのだ。

『ある女流作家の罪と罰』

監督:マリエル・ヘラー/出演:メリッサ・マッカーシー、リチャード・E・グラント
© 2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

●『猫と、とうさん』

 路上で暮らしながら癌を患い、猫と共にいることを支えにしている男性や、両前足を上げる変わった仕草で人気者になった猫でビジネスに励む男性……。猫と暮らすさまざまな男性たちの姿を通して、ひいては「男らしさ」とは何かを問う。

 世間の「男性といえば隣にいるのは犬」というステレオタイプのせいで、なかなか猫を好きなことや飼っていることを周囲に打ち明けられなかったという人も出てくる。

 もちろん、動物を愛でることに性別なんて関係ない。

『猫と、とうさん』

監督:マイ・ホン
©Gray Hat Productions LLC 2021.

2024.09.21(土)
文=高田真莉絵
イラスト=Caffeine House

CREA 2024年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

猫のいる毎日は。

CREA 2024年夏号

猫のいる毎日は。

定価950円

人生に大切なことを猫は全部知っています。過去や未来ではなく、いまを生きること。必要なときに食べ、好きなときに眠ること。人に気を使いすぎないこと――。そう、猫は最高! それにしても、私たちはなぜこんなにも、この不思議な生き物に魅了されてしまうのでしょうか。1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。