日本文学の歴史は、猫文学の歴史だったのかもしれません。そう思わされるほどに、すぐれた小説に猫はつきものです。壮大な物語にも、男女の痴話喧嘩にも、いつだってストーリーの中心に猫がいます。

 書評家の三宅香帆さんが、猫が登場する文学作品5つをご紹介(「CREA」2024年夏号より一部抜粋)。


猫好きなら絶対に幸せな気分になれる

『耳猫風信社』長野まゆみ

 11才になった主人公「ぼく」は、日記帳を買おうと決意し、境界を越えてとなり町へ向かう。そこで出会ったのは、変わった目の色をした少年「カシス」、そして不思議な文具店「山猫の店」だった。

「猫の世界をファンタジックに描いた本書。素敵な喫茶店やパン、お菓子の描写にもうっとりするだろう。猫好きの方なら、読むと絶対に幸せな気分になれるはず!」

2024.08.28(水)
文=高田真莉絵

CREA 2024年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

猫のいる毎日は。

CREA 2024年夏号

猫のいる毎日は。

定価950円

人生に大切なことを猫は全部知っています。過去や未来ではなく、いまを生きること。必要なときに食べ、好きなときに眠ること。人に気を使いすぎないこと――。そう、猫は最高! それにしても、私たちはなぜこんなにも、この不思議な生き物に魅了されてしまうのでしょうか。1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。