この記事の連載

――連載を通して印象的だったことや、困った出来事はありましたか? 

ヒグチ 印象的なことも困ったことも多々ありましたが、やはりいつも困ることは、私自身の思い入れの強さよりも、完成した作品の質が下回ってしまうことです。

 あと、これは何と表現したらいいか悩みますが、絵をアップした時の読者からの反応は、やはり白人がメインの映画に偏る傾向があると思いました。今回取り上げた作品自体の偏りももちろんあったとは思いますが、反応の差にちょっとびっくりしました。

 もしかしたら単に邪推で、私の作品の魅力が足りなかっただけかもしれませんけど。

アリ・アスター監督作品の魅力とは

――対談では、アリ・アスター監督作品の面白さや独自性について度々話題に上がっています。同監督作品の魅力を改めて教えてください。

ヒグチ 最初に作品を見たのは、『ヘレディタリー/継承』の試写会でした。もともと私はホラーが好きなので、どの作品を観てもあまり怖く感じないんです。だからアリ監督のような表現はとても面白さを感じました。そんな中、映画『ミッドサマー』『ボーは恐れている』と立て続けにお仕事させていただける機会に恵まれて大変嬉しい限りです。

 今年の2月には『BRUTUS』(マガジンハウス)で監督本人と対談する機会に恵まれたんです。インタビューなどで取り上げられているように、監督はとても温厚で優しい方だと感じました。お話しする間、こちらの話に耳を傾けてくださる感じもとても好感的で、何よりもとてもチャーミングです。

 そんな方がホラー作品を監督しているというのは不思議なようで、性格と正反対のものを作られるというのはよくあることだとも思いました。

2024.09.03(火)
文=ゆきどっぐ