この記事の連載
- 『映画とポスターのお話』インタビュー#1
- ヒグチユウコさんインタビュー #2
――ポスター制作に向けて改めて映画を観る時に、注目するポイントはありますか?
ヒグチ 作品によりますけれども、どこが描くべき点なのかもう一度考え直したりしますね。再度映画を見るところからスタートするので、新たな発見もあり、その過程はなかなか楽しいです。
トーマシン・マッケンジーを描くのが楽しかった
――オルタナティブポスターを作る時に、積極的に描きたいと思う俳優はいますか?
ヒグチ 描きたくなる俳優は確かにいるんですけれども、実際その役者がメインで出ている映画だとしても、あえて描かない場合もあります。
『ラストナイト・イン・ソーホー』では、アニャ・テイラー=ジョイは大変魅力的なのですが、「描きたい」となるとちょっと別になりますね。この時でしたら、トーマシン・マッケンジーを描くのが楽しかったです。
若くて可愛らしい、あるいは美しい顔はとても魅力的なのですが、年齢は高めの方が描きたいと思うことが多いです。
ジェシー・プレモンスやマハーシャラ・アリ、國村隼、ティム・カリー、ティルダ・スウィントン、あと何度描いても嬉しいミア・ゴス。挙げてみると老若男女でしたね。こちらもキリがないです。
ヒグチユウコに影響を与えた映画作品
――ご自身の制作に、映画作品が与えた影響は大きいのでしょうか? また、「映画を撮りたい」と思ったことはありますか?
ヒグチ 映画は一番すんなり触れることができ、ストーリーもあって、音もあってと、とても情報量の多いものなので、幼少期から大きく占めていたと思います。
ただ、映画の仕事というのは、私には少し大きすぎます。やはり自分にできるのは絵を描くくらいでしょう。なので末端でも良いので、仲間に入れて欲しいと言う気持ちからポスターを書きたいわけです。
――本書では、フェデリコ・フェリーニ監督の『悪魔の首飾り』から大きな影響を受けたと書かれていますが、ほかにも影響を受けた作品はありますか?
ヒグチ 影響を与えてくれた映画は、ダリオ・アルジェント監督の『サスペリア』がとても大きいと思います。
2024.09.03(火)
文=ゆきどっぐ