この記事の連載
- 『映画とポスターのお話』インタビュー#1
- ヒグチユウコさんインタビュー #2
テレビ放送される映画作品に感じる変化は?
――ヒグチさんは、幼い頃のテレビ放送で映画に触れた経験があるそうですが、昨今は子ども時代に観るとトラウマになりそうな映画はあまり放送されなくなった印象もあります。どう感じていますか?
ヒグチ そうなんです。うちにはテレビがないので、昨今のテレビ事情が全くわからないのですが、今の方たちはサブスクで観たりもするので、逆に幅は広がったんじゃないかなぁと勝手に思ってます。ただ倍速で観ることもあると聞いた時は、衝撃でした。
私が『サスペリア』や『悪魔の首飾り』に出会った事件も、人によってはトラウマ要素があったかもしれないので、万人に全てをお勧めしたいとは思いませんが、「向こうからいきなり飛び込んでくる、そんな出会いもあると良いのでは?」と個人的には思います。「ちょっとの冒険もたまにはいいよ!」です。
SNSもございますし、誰でも簡単に意見ができるようになった昨今では逆に息苦しいことも多いです。一方で、良くなったこともすごく多いので、単に時代の流れなんでしょうね。
ボリス雑貨店で行う『映画とポスターのお話』の展示
――「ボリス雑貨店」(渋谷区)では『映画とポスターのお話』の発売を記念して、9月3日までギャラリー展示をしています。見どころを教えてください。
ヒグチ 「ボリス雑貨店」は雑貨店という名前から勘違いされることが多いのですが、この場を借りて「ギャラリーです」と再度強くお知らせしたいです!
今回大きなポスターを全て貼るのは、スペース的に問題があり、あえて色校正を額装するという形での展示となりましたが、ずらりと並ぶとびっくりする量でなかなか見応えがあります。
実は、描いたオルタナティブポスターは今回の書籍に全て収録できておらず、まだまだあるんです。私たちの関わった映画のDVDやカット、パンフレット、映画に関する小物、そして権利的にポスター化が不可能だった作品なども展示しております。ぜひお時間ございましたら、お立ち寄り下さい。
あと、「映画」というテーマで、デザインチームと偽物の映画のポスターを作ったりもしてますので、笑っていただければ幸いです。
》インタビュー【後篇】に続く
映画とポスターのお話 (MOE BOOKS)
定価 3740円(税込)
白泉社
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ヒグチユウコ
東京を拠点に画家として活動している。アパレル企業などとのコラボ作品を手掛ける。2019年には、ギャラリー「ボリス雑貨店」(渋谷区)をオープン。著書に絵本作品『ふたりのねこ』(祥伝社)、『せかいいちのねこ』『ギュスターヴくん』(白泉社)などがある。2024年10月から韓国で展覧会を開催。
higuchiyuko.com
2024.09.03(火)
文=ゆきどっぐ