10年ぶりの新作も発表
また今回の展覧会では、代表作のひとつ「劇場」シリーズの10年ぶりの新作も発表される。撮影場所はパレ・ド・トーキョー内の映画上映室。この施設は長年閉鎖されていたが2012年に全面修復され、1937年の開館当時の姿で現代に蘇った。杉本はここで、ルキノ・ヴィスコンティの「異邦人」(1967)を上映し、そのスクリーンの輝きのみで館内を撮影した。
人類の起源から現代を経て、未来の滅亡の時までを思考の対象にするアーティストのイマジネーション。杉本はそれを洗練された美意識と僅かな毒を含んだアイロニーを込めて作品化する。写真という枠に留まらない才能の広がりを改めて感じさせる展覧会だ。
「今日、世界が死んだ(失われた人類の遺伝子の保管庫)」展
開催期間 2014年4月25日(金)~9月7日(日)
場所 パレ・ド・トーキョー(パリ)
URL http://www.palaisdetokyo.com/en/palais-de-tokyo
Column
世界を旅するアート・インフォメーション
世界各地で開かれている美術展から、これぞ!というものを、ジャーナリストの鈴木布美子さんがチョイスして、毎回お届けします。
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2014.04.05(土)
文=鈴木布美子