ルイ・ヴィトン財団美術館の外観。by courtesy of Fondation Louis Vuitton

 ビルバオ・グッゲンハイム美術館などの設計で知られるアメリカの建築家、フランク・ゲーリーの大回顧展がパリのポンピドゥー・センターで開催中だ。ゲーリーの建築といえば、1990年代以降の作品で特徴的な三次元曲面を多用したダイナミックなデザインを思い浮かべる人が多いだろう。しかし建築家としてのキャリアは1960年代にまで遡る。

 この展覧会では半世紀に及ぶ彼の仕事を時代ごとに6つのセクションに分け、建築家ゲーリーの全貌に迫る内容となっている。各時代を代表する約60のプロジェクトを紹介、多数のオリジナルドローイングやスタディ模型の展示を通じて、ゲーリーの建築がどのように進化を遂げてきたかを解き明かしている。

ルイ・ヴィトン財団美術館の模型。同美術館でのゲーリー展で公開されている。by courtesy of Fondation Louis Vuitton

 ゲーリーの最新プロジェクトのひとつが、今年パリのブーローニュの森に完成したルイ・ヴィトン財団美術館だ。2014年10月27日にオープンしたばかりの同美術館では、ルイ・ヴィトン財団およびLVMHグループCEOのベルナール・アルノーが所有する現代美術コレクションが展示されるほか、年2回の企画展が予定されている。

ルイ・ヴィトン財団美術館内に設置されたオラファー・エリアソンのコミッションワーク作品。by courtesy of Fondation Louis Vuitton

 この10月から2015年9月までのオープニング特別展は期間を区切った三部構成で、10月から3月までの第一部は建築をテーマにした内容。ゲーリーのプロジェクトを紹介する展示のほか、クリスチャン・ボルタンスキーやゲルハルト・リヒターなどの収蔵作品、エルズワース・ケリーやオラファー・エリアソンなどによる建築と関連したコミッションワーク作品を見ることができる。

 レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースによるポンピドゥー・センター、ジャン・ヌーヴェルのカルティエ現代美術財団など、パリには独創的な現代建築とアートが融合した魅力的な美術館がいくつかある。それらの系譜に連なるルイ・ヴィトン財団美術館は、今のパリで必見のアート・スポットと言えそうだ。

「フランク・ゲーリー展」
会期 2014年10月8日~2015年1月26日
会場 ポンピドゥー・センター(パリ)
URL https://www.centrepompidou.fr/en

「フランク・ゲーリー展」
会期 2014年10月20日~2015年3月16日
会場 ルイ・ヴィトン財団美術館(パリ)
URL http://www.fondationlouisvuitton.fr/ja.html

鈴木布美子 (すずき ふみこ)
ジャーナリスト。80年代後半から映画批評、インタビューを数多く手掛ける。近年は主に現代アートや建築の分野で活動している。

Column

世界を旅するアート・インフォメーション

世界各地で開かれている美術展から、これぞ!というものを、ジャーナリストの鈴木布美子さんがチョイスして、毎回お届けします。
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2014.11.24(月)
文=鈴木布美子