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夜、目が覚めると足元に女の子が立っている

 最後に住んだのは50代くらいの男性。新潟県内のどこかから引っ越してきた。彼も近所づき合いがあったが、「最近眠れない」とよくこぼしていたらしい。

「夜、目が覚めると足元に女の子が立っている」

 そんな話をしたあとに具合を悪くして入院し、数週間後に亡くなっている。

 その後、物件内覧のために祖母とその孫らしき子供が来たが、玄関前で孫が「中に入りたくない」と泣き叫んだ。それが原因かはわからないが、結局、住むことはなかった。

 僕が物件を見にいったときは入居者募集中であったが、2023年の秋にはもう募集の看板は取り外され、内装工事が始まっていた。


松原タニシ氏が厳選した怪談を100話収録した『恐い怪談』から抜粋。

恐い怪談

定価 1,650円(税込)
二見書房
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松原タニシ(まつばら・たにし)

1982年、兵庫県出身。松竹芸能所属のお笑い芸人。事故物件に住み続ける"事故物件住みます芸人"として知られる。YouTube「松原タニシch」「松原タニシのぞわぞわチャンネル」を運営。ラジオレギュラー番組に「松原タニシの生きる」(ラジオ関西)、「松原タニシの恐味津々」(MBSラジオ)などがある。『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)がベストセラーとなり、著者累計40万部を誇る。
X:@tanishisuki

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