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怪談界きってのストーリーテラーであり、著者累計の売上は40万部を突破した松原タニシ氏。この夏上梓した『恐い怪談』(二見書房)は、タニシ氏が取材を重ねた実話怪談から選りすぐりの100本を構成して書き下ろしたもの。
お盆だもの、タニシさんの珠玉の怪談で涼しくなってみませんか? 5日目は、タニシさんが本多さんという方から聞いたというお話、「必ず死ぬ家」をどうぞ。
必ず死ぬ家
本多さんが教えてくれた物件は、いままで僕が聞いた話のなかで最も住人が連続で亡くなっている。
それは本多さんの地元である新潟県のとある地域にある平屋の一軒家だ。
まずはじめは30代くらいの夫婦と保育園児の娘が住んでいた。しかし、通学途中に娘がバスに轢かれて亡くなってしまう。その事故により気を病んでしまった妻がノイローゼになり、離婚して家を出ていってしまう。残された夫はその後もひとりで住み続けるが、しばらくして浴槽で亡くなっているところを発見される。死因は不明だ。
次に住んだのは30代後半の男性。彼は関東から新潟へ引っ越してきた。交際していた女性と一緒にいるところを近所の住人はよく見かけたが、ある時期からぱったりと女性が来なくなる。その後しばらくして浴槽で、男性が心肺停止の状態で見つかる。
その次に住んだのは60代くらいの男性。彼も関東から引っ越してきた。近所づき合いもよかったが突然見かけなくなり、こたつで亡くなっているのが見つかる。
2024.08.14(水)
文=松原タニシ
写真=志水 隆