あくまで本書は、運に関するリアルな処世の書という位置づけである。少なくとも私は、現実から遊離した言葉遊びや禅問答的な議論をするつもりは一切ない。私がこれまで採用してきた手法の中で、最も確実かつ効果の高かったものを紹介し、地に足がついた議論を展開するつもりだ。従って本書は、運に関するあまたの思想書や哲学書、宗教書的なものとは、立脚点と次元を全く異にした、ある種の実学書的なものとなろう。

 最後に、本書を読んでいただくうえでの留意点に触れておきたい。

 本書では、第一章から第五章までを主に「個運」に関して、第六章から第七章を「集団運」に関しての説明に割いた。そのうえで、第八章からエピローグでは、個運と集団運を合体した「総体運」的なものについて、私の経験や考えを述べている。

個運が良くなければ何も始まらない

 留意すべきは、それぞれの個運が良くなければ、集団運も良くなり得ないということだ。つまり、「個運が良くなければ何も始まらない」のである。

 また、私のような経営者にとっては、集団運に恵まれなければ、結果として個運も良くならない。そういう意味では、両者は密接不可分な関係にあるわけだが、いずれにせよ個運こそが成功や幸福の出発点であると、私は確信している。

 まずは個運を上げることが何よりも重要であると、最初に申し上げておきたい。

 さて、「運」をめぐる探検に皆様をご案内しよう。本書を読み終える頃には、確実に運を良くする手がかりが摑めていることを、私が保証する。


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2024.07.13(土)